本研究は、変成岩における反応と変形の連結現象を速度論的に解明することを目的とし、蛇紋岩メランジにおける交代作用を主な対象として反応の進行に伴う岩石と流体の体積変化が岩石の変形に与える影響を考察する。 平成26年度は、主に野母変成岩類の蛇紋岩メランジに見られる交代作用について研究を進めた。野外調査では、泥質片岩ブロックの曹長岩化や苦鉄質変成岩ブロックの曹長岩化および緑簾石化といった多様な交代作用が観察された。特に泥質片岩ブロックの曹長岩化では、クラックに沿って浸透した変成流体との反応を示す典型的な産状が見られ、さまざまな反応進行度の状況が記載された。室内研究では、泥質片岩ブロックの曹長岩化が進行するにつれて間隙率の増加と間隙流体圧の低下が生じるという結論を得た。成果公表として、研究結果を日本地質学会にて発表したほか、論文として投稿する準備を進めている。
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