研究課題/領域番号 |
24540527
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
壷井 基裕 関西学院大学, 理工学部, 准教授 (60411774)
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研究分担者 |
淺原 良浩 名古屋大学, 環境学研究科, 助教 (10281065)
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キーワード | 花崗岩 / 安定同位体 / ストロンチウム |
研究概要 |
本年度(平成25年度)は補助事業期間(平成24年度~平成26年度)における中間年にあたる。昨年度に,単一花崗岩体内におけるストロンチウム安定同位体分別メカニズムの解明に適した花崗岩体として,福島県南会津郡檜枝岐村周辺の只見川花崗岩類(特に檜枝岐川花崗岩と只見川花崗岩)を見いだした。本年度はこの花崗岩類について,再度詳細な野外調査を行い,さらに本花崗岩体の基本的なデータを得るために,岩体内で広域的に帯磁率の測定を行った。また,花崗岩の固結年代を得る目的として,レーザーアブレーション-誘導結合プラズマ質量分析装置を用いて,閉鎖温度の高いジルコンのウラン-鉛年代測定を3試料について行い,年代を得ることができた。さらに,これらの花崗岩類の全岩試料において,ダブルスパイク法を用いてストロンチウム安定同位体の測定を行い,従来の分析よりもさらに精度の高いデータを得ることができた。その結果,岩体内においてストロンチウム安定同位体の分別が有意に起こっていることを確認することができた。現在どういったメカニズムによって同位体の分別が引き起こされたのかについて,これまでに得られた同位体や化学組成等のデータを用いて解析,検討を行っている。また,昨年度の検討課題であった花崗岩類の誘導結合プラズマ質量分析装置による希土類元素組成分析実験におけるアルカリ溶融に伴う高濃度の融剤を除去するための陽イオン交換カラム分離システムについては,その構築を完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
只見川花崗岩類において,ストロンチウム安定同位体の従来よりも高精度な分析実験に成功し,さらに,有意に分別が起こっていることを実証した。このことから,本研究はその目的達成に向けて着実に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
同位体分別のメカニズムの詳細についてさらに明らかにするため,花崗岩をそれぞれの鉱物に分離し,安定同位体を測定する。また,得られた知見を学会等で発表するとともに論文としてまとめる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験試薬等消耗品や旅費にかかった金額が当初の予定より少なく済んだため。 実験器具や実験試薬等に使用する。
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