研究課題/領域番号 |
24540538
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
門野 敏彦 産業医科大学, 医学部, 教授 (60359198)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 隕石衝突 / X線 / レーザー |
研究実績の概要 |
平成26年度までに大阪大学レーザーエネルギー学研究センター(阪大レーザー研)の激光XII号レーザーを使った岩石および隕石の高速度衝突実験を行い発生するX線を計測した.まず,X線ピンホールカメラによる撮影から,衝突点付近からX線が発生している兆候を掴んだ.ピンホールカメラは時間積算型の計測であったため,レーザーの漏れ光が衝突点を照射しX線が発生した可能性もある.そこでレーザー漏れ光によるX線と衝突によるX線を区別するために,時間分解型X線ストリークカメラによってレーザー照射が終了した後に粒子が標的に衝突するような実験条件での計測をおこなった.平成27年度前半は,衝突によるX線を確認するためにストリークカメラによって得られた画像を詳細に解析した.その結果,レーザー照射終了後,衝突した時刻にX線が確認されたものの,レーザー照射によって発生した残留プラズマからのX線という可能性を排除することが出来なかった.すなわち,阪大レーザー研での現在の実験条件ではどうしてもレーザー由来のX線がノイズとして入り込む可能性があり,衝突起源のX線との切り分けが難しいという結論に達した.そこで方針を変更し,レーザーを使わない衝突実験でのX線検出を目指し,まずX線検出器を購入した.平成27年度後半はこの検出器の較正実験などを行ったが,年度内に実際の衝突実験に適用するに至らなかった.次年度は二段式水素銃などのレーザーを使わない高速度衝突実験施設にこの検出器を持ち込み,X線の計測を行う予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大阪大学レーザーエネルギー学研究センターの激光XII号を使った衝突実験により,衝突によるX線発生の兆候を掴んでいる.しかしながら,レーザー照射によるプラズマからのX線との切り分けができず,衝突由来のX線発生についての最終的な確証が得られていない.そのため定量評価が出来ず,当該研究課題の最終目標である天体観測への応用に進めていない.
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今後の研究の推進方策 |
今後は二段式水素銃などのレーザーを使わない高速度衝突実験施設にこの検出器を持ち込み,X線の計測を行う予定である.現在,平成27年度に購入したX線検出器の較正を行っており,国内の二段式水素銃施設において衝突実験およびX線計測を行うため,実験条件の検討や治具の製作を進めている.来年度前半に実験・計測を行い,後半に発生X線量から天体観測可能性について定量評価を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
大阪大学レーザーエネルギー学研究センター(阪大レーザー研)の激光XII号を使った衝突実験により,衝突によるX線発生の兆候を掴んでいる.しかしながら,レーザー照射によるプラズマからのX線との切り分けができず,衝突由来のX線発生についての最終的な確証が得られていない.このまま阪大レーザー研での実験を続けるより,方針を変更し別の条件での実験を行った方が得策であると判断した.しかしながら時間的に年度内に新条件での実験を行うことが出来ず残額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
現在,レーザーを使わない衝突実験およびX線計測に向けた準備を進めており,必要な治具製作に対して消耗品の支出を行う予定である。その後,準備が整い次第,国内の二段式水素銃施設において衝突実験およびX線計測を行う.そのための旅費,成果発表のための学会費・旅費として支出する計画である.
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