研究課題/領域番号 |
24540541
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
谷川 隆夫 東海大学, 総合科学技術研究所, 教授 (70207174)
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キーワード | プラズマ・核融合 / プラズマ物理 / プラズマ波動現象 / プラズマ乱流 / キャビトン / 泡状プラズマ / プラズマ非線形現象 / プラズマ不安定性 |
研究概要 |
キャビトンに代表されるような局所的に周辺プラズマよりも低密度になった部位がブロッブ状にプラズマ中に分散している“泡状プラズマ”の物性を波動現象を中心に解明しつつプラズマ物理に新たな視点を導入するきっかけを作るのが本研究の目的である。平成25年度の成果を以下に述べる。 1.宇宙航空研究開発機構・宇宙科学研究所(ISAS/JAXA)共同研究設備の高密度磁化プラズマ発生装置に大口径電子ビーム源(直径120 mm)を設置し、強いプラズマ乱流状態を実現する実験を開始した。今後この乱流状態にあるプラズマ中にマイクロ波を入射して電磁波の伝播特性を調べる実験に進む。 2.上記の電磁波伝播特性を調べる実験で必要になるマイクロ波発生器を購入し、東海ヘリコンプラズマ装置でテストを開始した。まだ確定的ではないが、プラズマの密度変調度を大振幅イオン波励起などを通して上昇させて行くと、プラズマ中をマイクロ波が伝播する様子に変化が現れてくるようである。今後定量的な測定を実施する。 3.連携研究者の主導のもと、強い密度変調のあるプラズマ中をプラズマ波動がどのように伝播するのかを多粒子シミュレーション手法などを用いて検討中である。一例として、密度プロフィルが非一様な磁化プラズマ中におけるヘリコン波の伝搬、モード変換、プラズマによる吸収過程のシミュレーション結果は、泡状プラズマにも適用可能な部分がある。 4.以前実施した能動電離圏実験(電離層プラズマを大電力短波で照射し、プラズマ乱流や熱輸送現象を人為的に生じさせる実験)において大規模キャビティを観測した場合のデータを再解析し、大規模キャビティが電離層中に生じている場合の電磁波伝搬について検討した。これは“泡状プラズマ”の大規模なケースと言えるだろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マイクロ波関連の設備を整えるのに予想以上の時間がかかり、実験計画が遅延気味である。新しい実験結果が少ない分、過去に蓄積されたデータの再検討などで補っているが、新たな興味あるデータを取得すべく努力して行く。
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今後の研究の推進方策 |
泡状プラズマ中での電子プラズマ波、電磁波の伝播特性を明らかにする実験を進展させ、実験結果を理論、シミュレーションの結果と比較検討しつつ更に研究を詰めて行く。平成26年度が最終年度なので、研究成果を学会等で公表しつつ最終報告書を取り纏めるべく研究成果を慎重に吟味する。
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次年度の研究費の使用計画 |
参加した国際学会が国内で開催されたため海外旅費を使用しなかったため。 成果発表費などに充当する予定である。
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