研究課題
キャビトンに代表されるような局所的に周辺プラズマよりも低密度になった部位がブロッブ状にプラズマ中に分散している“泡状プラズマ”の物性を波動現象を中心に解明しつつプラズマ物理に新たな視点を導入するきっかけを作るのが本研究の目的である。平成26年度の成果を中心に、研究期間を通して得た知見等を以下に述べる。1.東海ヘリコン装置内に生成したプラズマ中に、大振幅イオン波を励起しイオン波乱流状態を生じさせたり、キャビトンを生成したりする手法を前年度までに確立してきた。平成26年度には、新たに構築したマイクロ波システムを用いて上記のような泡状プラズマ中におけるマイクロ波伝搬の様子を調べ、マイクロ波伝搬異常(マイクロ波が異常に吸収されているように見える)を観測した。2.大振幅イオン波が存在する場合の電子プラズマ波(ラングミュア波)の分散関係を流体モデル、多粒子シミュレーションの双方で検討した結果、通常波動が伝搬する周波数領域に禁止帯(エバネッセント領域)が生じる可能性を確認した。3.宇宙航空研究開発機構・宇宙科学研究所(ISAS/JAXA)共同研究設備の高密度磁化プラズマ発生装置に大口径電子ビーム源(直径約120 mm)を設置し、強いプラズマ乱流状態を実現する実験を開始しているが、今後この実験を泡状プラズマ中の波動伝搬特性を解明する研究に発展させたい。4.泡状プラズマの物性を理解する端緒にやっとたどり着いたという感じで、物理を完全に解明するにはまだ道半ばであるが、泡状プラズマの物理は今後プラズマ物理に新たなパラダイムを導入する分野に成長することが期待される。電磁波伝搬の制御などに泡状プラズマを応用するなど応用分野についても今後検討を加えて行くことが肝要であろう。
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http://www.rist.u-tokai.ac.jp/