研究課題/領域番号 |
24540543
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
田口 俊弘 摂南大学, 理工学部, 教授 (90171595)
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研究分担者 |
井上 雅彦 摂南大学, 理工学部, 教授 (60191889)
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キーワード | 高強度レーザープラズマ / カーボンナノチューブ / 粒子シミュレーション / 自己組織化膜 |
研究概要 |
レーザープラズマ解析用粒子シミュレーションコードの開発はほぼ完了し,衝突や電離過程を含んでカーボンナノチューブ(CNT)にレーザーを照射した時のプラズマの過渡現象が,初期の中性状態から解析可能になった.2013年度はこれを用いて周期的に配置したCNTに高強度レーザーを照射したときに発生する電磁波のスペクトルを調べ,そのレーザー光強度依存性や放射角度依存性を調べた.この結果,低周波モードが発生することは確認できたが,そのスペクトルを十分に分解するには至らなかった.これは,テラヘルツ光のような低周波モードを解像するには,空間スケールが大きな領域を解かねばならず,CNTの周期配列のような細かい構造を入れながら大きな領域を解くという大規模シミュレーションが必要だからである.このことから,2014年度は,パソコンノードを増加して並列化をさらに高めると同時に,計算時間低減のためのアルゴリズムを導入する予定である. 周期構造を持った自己組織化膜形成実験においては,昨年度に引き続き,均一構造領域の拡大と空孔サイズの制御について最適条件の探索を行った.湿度を制御しやすいように従来の小型ドラフトチャンバ―をやめ,もっと容積の小さな成膜カプセルを作成し,その中で実験を行うようにした.湿度と高分子溶液の濃度,添加する界面活性剤の比率,基板の材質および表面処理方法,基板の傾斜角,加湿度空気の吹きかけ時間などをパラメータとして数多くの実験を実行した.結果として,高分子溶液の濃度 2mg/ml,金属基板,界面活性剤 0.5mg/ml,基板傾斜角 18°,加湿空気吹きかけ時間2min の条件下で,比較的広範囲に均一な空孔が整列することがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
レーザープラズマ解析用粒子コードの開発とそれを用いた高強度レーザーとカーボンナノチューブの相互作用解析計算の実施については予定通り進んでいる.ただ,低周波モード解析を目的とするにはコンピュータの性能が足らず,十分大きなスケールでの計算ができないのが問題である.現在の計算機パワーで実際問題の解析を実施するためには,もう少しアルゴリズムに改良を加える必要があると考えている. 自己組織化構造薄膜を用いて周期的配置のCNT生成実験については,CNTを成長させるための触媒金属の周期的配置が鍵である.今年度は,おおよそ自己組織化膜の成膜条件が定まってきたが,まだ空孔が規則的に配列した領域の面積が充分ではない.さらに条件をつめる必要がある.
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今後の研究の推進方策 |
計算機解析については,より大規模な計算を行うため,パソコンの数を増やし,パワーアップすると共に,より効率の良いアルゴリズムを導入してグリッドサイズや時間ステップを大きく取れるようにする.これにより,メモリの利用効率を上げて,長時間計算を効率よく行い,解像度の高い低周波スペクトルの解析を行う. 自己組織化構造薄膜生成実験では,実験パラメータの中で,加湿空気の湿度と流量,吹きつけの均一性については実験後とのばらつきが大きい.これを正確に制御した実験を行う.完成した膜の周期性が十分確認できた後,レーザー照射実験へ移行する.
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