衝突・電離過程を含むレーザープラズマ解析用粒子コードの開発は,並列化も含めてほぼ完了し,カーボンナノチューブ(CNT)にレーザーを照射した時の詳細な物理過程が解析可能となった.2014年度はこれを用いて,非対称な形状にバンドルしたCNTにレーザーを照射したときの低周波電磁波発生をテーマとして研究を行った.これまでの計算ではCNTの形状を単純な円形配置にしていたが,左右対称の形状では単一波長レーザーの照射だけでは奇数次高調波しか発生しない.このため0次モードである低周波を発生させるには,2波長レーザー照射などが必要であった.しかし,卵形のような非対称にすれば,偶数次モードの発生が期待される.実際にシミュレーションを行ったところ偶数次モードの発生が起こり,0次モードも発生した.このことから,卵形にバンドルされたCNTを低周波の波長に合わせて周期的に並べ,そこにレーザー照射を行うことで,高強度のテラヘルツ光の発生が期待できることがわかった. 周期構造を持った自己組織化高分子膜を形成する実験においては,温度と湿度を一定に保つためのミニチャンバーを製作した.ポリスチレンとポリアクリルアミドのクロロホルム溶液をガラス基板にコートし,ミニチャンバー中で加湿空気を吹き付け,高分子液の表面に微少水滴を結露させ,空孔を形成させた.この空孔を周期的に並べるためには高分子液が凝固するまでに何らかの外力により液面に流れを発生させ,ランダムに発生した空孔を凝集させる必要がある.このため基板の角度(0~90°)とチャンバー内の湿度(50~100%)をパラメータとして色々な条件で実験を行い,走査型電子顕微鏡観察により評価した.結果として,湿度が低い方が広範囲に渡って均一な大きさのハネカム膜が形成されやすいことがわかった.角度については 60°付近が良い結果が得られたが,かなりばらつきが多いことがわかった.
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