研究課題/領域番号 |
24550009
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
森田 剛 千葉大学, 融合科学研究科(研究院), 助教 (80332633)
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キーワード | ゆらぎ / イオン液体 / 小角X線散乱 / ラマン散乱 / 時間分解測定 |
研究概要 |
イオン液体は二酸化炭素を極めて多量に吸蔵し、しかも、高い選択性を有する。一方で、吸蔵過程では非常に体積膨張が小さく、ほとんど液体構造を変化させないことが分かっている。我々は、メソスケール領域での構造変化に焦点を当て、吸蔵過程における構造変化を、構造の不均一さを表す「ゆらぎ」の観点から解析している。これを微視的な吸蔵サイトとの相関に広げ、吸蔵過程におけるゆらぎの変化、優先的な吸蔵サイトの検討、密度等の物性値変化により評価してきた。本年度、後方散乱型のラマン散乱装置を用いてラマン散乱測定するための高圧試料セルの開発を行い、予備実験を行った。これは、小角散乱測定と同時測定を行うことができるよう設計されており、時間分解の小角散乱測定とラマン散乱測定を組み合わせることで、二酸化炭素吸蔵における圧力依存性とともに、優先的な吸蔵サイトなどの吸蔵途中の様相が明らかになるものと考える。当該年度では、指紋領域等、十分に量子化学計算により実験値が検討されているイオン液体(例えばイミダゾリウム系のC2mimNTf2)などに対し実験を行ってきたが、次年度以降、アルキル鎖長依存性などについても検討し、さらに研究を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、当該年度に小角X線散乱測定とラマン散乱を、放射光施設にて同時測定を行う予定であった。小角X線散乱とラマン散乱用の同時測定用の高圧セルの開発は行ったが、実験室レベルでの個別の測定になった。このため、同時測定に至らなかった点を鑑み、やや遅れていると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
放射光施設での小角X線散乱とラマン散乱の同時測定に至らなかった原因としては、二点考えている。一点目は、撹拌機構に問題点があることが判明し、二酸化炭素とイオン液体界面を叩けるような撹拌機構が必要である。これは、現状、撹拌子を水平方向に回転させての撹拌を、垂直方向への撹拌に切り替えることで達成できる。この改善に関しては、十分に検討し概要は図面化してある。もう一点は、放射光施設での実験時間の大幅な減少である。これは、新規課題を申請するなどし、実験時間を確保することで対応する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
放射光を用いた小角散乱測定によって得られた研究成果に対する議論を行うため、出張を予定していたが、直前にキャンセルになったため。 5月と6月に予定されている放射光施設を用いた測定の結果をさらに加えた形で、研究成果に関する議論を行うため、出張を行うための経費として予定したい。
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