研究課題/領域番号 |
24550011
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
牛山 浩 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40302814)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 理論化学 / 触媒 / 表面反応 / 電子ダイナミクス |
研究実績の概要 |
電極への応用を目指して、本年度は量子化学計算で電極反応に関して研究を進めた。具体的物質として、光半導体電極を用いた水分解反応において、酸素生成反応(OER)の電極触媒として活性が報告されているRuO2を取り上げた。特にRuO2表面に注目し、電気化学条件下での界面構造の解明を目的として研究を行った。RuO2上におけるOERはpHの違いにより、オンセット電位・電流密度に違いが生じること、OERの電流電位曲線におけるTafel slopeが特定の電極電位で変化することが実験で報告されている。我々は理論計算により電極電位・pH に依存した界面構造の解明を通じて、電気化学条件下での触媒活性の違いを検討した。その結果、pHの違いによる表面構造の違い(pHにより、表面の酸素がO、OH、OH2となる)が、上述の実験事実を引き起こしている原因になっていることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
具体的な応用先の研究(光触媒や電極反応)はある程度終えた。これらに対する電子ダイナミクスの適用が課題として残ってしまった。現実系への応用を目指し、プログラムの開発と具体的な応用を目指し、現在も研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、電子ダイナミクスの方法を開発しつつ、具体的な電極や触媒反応に置ける電子の授受について調べる予定である。表面反応における電子の授受の機構はどうなっているのか、実時間電子ダイナミクスの観点から明らかにしたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
26年度に光触媒や電極反応等への応用を行い、その結果を国内外の学会で発表する予定であったが、前年度までに予定していた基礎理論の開発とプログラムの実装に多くの時間を必要としたため、電極等への応用計算が遅れてしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
電極等への応用計算と国内外の学会発表を今年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることにしたい。
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