研究課題/領域番号 |
24550015
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
井田 朋智 金沢大学, 物質化学系, 准教授 (30345607)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 電子伝播関数 |
研究概要 |
本年度は研究設備の購入および研究環境の構築を重点に行った。研究設備としてはRC VientoG Xeonコンピュータを購入し、並列計算環境としてNVIDIA GTX680を選択し、CUDAプログラム環境を構築した。この計算環境を用いて、すで構築済みであった計算プログラムの並列化を試みた結果、いくつかの問題点が確認された。これは研究課題(1)に対する成果であり、この問題の克服が研究二年度の課題となる。よって本研究課題は研究計画(1)に従って順調に遂行されている。 上記研究環境を用いて遂行した成果は、分子科学討論会2012および北陸地区化学会において発表した。特に北陸地区化学会で発表した「1電子Green関数におけるSCS近似の可能性」において、これまで並列化が難しいとされていた3次の補正項を含む計算ではなく、比較的並列化が容易であり、かつ様々な計算手法が提案されている2次の補正項だけ用いた計算においても、スピン成分スケーリング(SCS)近似を併用することでその計算誤差を3分の1程度まで減少させることが分かった。この研究成果は当該研究課題の基礎的な部分に相当し、今後更なる展開が期待できることを確認した。 また、研究二年度から始まる研究計画(2)に挙げた「密度汎関数法による多価イオン状態計算方法の開発」についても、現有プログラムがその改良に対応することを確認しており、順調に課題探究が行えると考えている。 ただし、研究計画(3)に挙げた「2価イオン状態の分子物性解析」についての成果はまだ発表の領域に至っておらず、今後の重点的な進展が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究環境の整備はほぼ目的通り構築され、その成果も研究計画(1)「電子伝播関数計算プログラムの並列化」として、研究実績で述べたように順調に進展している。さらなる成果を随時国内または国際学会および投稿論文として発表することで、研究課題(1)は概ね達成できると確信する。 研究課題(2)の「密度汎関数法による多価イオン状態計算方法の開発」についても、現有プログラムがその改良に対応することを確認しており、研究計画通りに本年度から取り掛かることで研究最終年度までには成果を上げることは可能である。 ただし、研究計画(3)に挙げた「2価イオン状態の分子物性解析」については、本年度において重点的に取り組み、当該申請者のみならず研究協力者であるアメリカのOritz教授とも密に連絡を取りながら、その進展を図る。この点が当初の計画以上ではない点に相当する。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題における研究計画(1)「電子伝播関数計算プログラムの並列化」については、研究実績で述べたように順調に進展しており、さらなる成果を随時国内または国際学会および投稿論文として発表していく。 また、研究二年度から始まる研究計画(2)に挙げた「密度汎関数法による多価イオン状態計算方法の開発」についても、現有プログラムがその改良に対応することを確認しており、順調に課題探究が行えると考えている。 研究計画(3)に挙げた「2価イオン状態の分子物性解析」については、本年度において重点的に取り組み、当該申請者のみならず研究協力者であるアメリカのOritz教授とも密に連絡を取りながら、その進展を図る。
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次年度の研究費の使用計画 |
国外の図書を購入予定。すでに注文したが今年度中に納入できないため次年度に持ち越した。
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