研究課題/領域番号 |
24550020
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
関野 秀男 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40335104)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 多重解像度多重ウェーブレット / madness / 応答関数方程式 / スケーラビリティ |
研究概要 |
多重解像度多重ウェーブレット(MRMW)基底関数に基づく一般分子の分極率算定プログラムコード開発のため、公開プログラム“madness”のゼロ次波動関数と開発中のプログラムの比較検証を行った。初期関数の違いにより、多少の差がみとめられるが、基本的に同等の結果であったため、超並列計算対応となっているmadnessと同様のコーディング仕様に変更し、madnessの密度汎関数分子軌道算定の部分moldftによる結果と定量比較を行っている。madnessの基幹プログラム群は、次世代超並列環境でその威力を発揮できるような設計思想に基づいて構築されており、開発の母体となった米国オークリッジ国立研究所(ORNL)のスーパーコンピュータ用に開発されたが、現在他のスーパーコンピュータでも駆動可能なように改変作業が進行中である。開発メンバーの一員である我々も豊橋技術科学大学情報メディア基盤センターや国内のスパコンに実装し、その可動性を検証している。 本プロジェクトの真の目的は単なる動的分極率算定プログラム開発ではなく、現在「京」への実装で多くの既存量子化学プログラムが体験しているようなスケーラビリティの壁を破ることのできる量子物性算定プログラムの開発である。現在、応答関数方程式部分のアルファバージョンのコーディングも終えているが、解の収束速度が遅いため、原因を究明している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
残念ながら目的達成度はやや遅れていると判断せざるを得ない。その理由は、 1.プログラム開発において超並列環境にチューニングしたmadnessのインフラストラクチャーを使用しているが、madness開発の中心であった米国オークリッジ国立研究所(ORNL)の最新マシンがJaguarからTitan(GPUマシン)に移行したため 2.現在開発グループの中心がアルゴンヌ国立研究所(Argonne Leadership Computing Facility(ALCF))に移り、IBM計算機 Blue Geneをベースとした開発を行っているため安定性が低下した などの点があげられる。
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今後の研究の推進方策 |
「現在までの達成度」で示した理由により計画に遅れがでているが、本研究を単なる成果報告のためのプログラム開発・論文制作に終わらせず、次世代スパコン対応のプログラム開発に繋げるため、以下の具体的指針を取る。 1.豊橋技術大学次世代シミュレーション技術者教育・教材開発プロジェクトにより購入し、平成25年5月より駆動するミニスパコンにmadnessを実装し、そのインフラストラクチャーを使った光物性量算定プログラムをインハウスで開発する。 2.本研究に従事する大学院生をALCFに短期留学させ、madnessのインフラストラクチャーのスパコン上でのperformanceなどについて学習させる。 3.本プログラム開発はC++でおこなわれているが、プログラムの骨子を明確にし、バグの発掘を容易にするために、pythonによる独立プロトタイププログラムを実装する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし。
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