研究課題/領域番号 |
24550023
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
永原 哲彦 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教 (70390664)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 超高速分光 / 反応動力学 |
研究実績の概要 |
複雑かつ高度に集積された分子系においては、メソスコピックなサイト依存性とダイナミックスの同時測定が重要である。時間分解イメージングでは時間と空間の2つの領域を走査する必要があるが、時間領域を走査する際には従来の超高速分光で一般的に行われている機械的な光学遅延ステージでは、高速かつ正確性の高いイメージングは困難である。なぜなら、光学遅延ステージの機械的な移動は時間がかかり、また移動によってレーザビームの広がりや重なり具合に変化が生じてしまうからである。本研究では、電気的な遅延時間の制御が可能な光サンプリング法による過渡種のイメージングを提案している。 この研究では2台のレーザ発振器を同時に使用する必要があるが、温度調整された同一のブレッドボード上に共通の励起レーザでポンプした2台のモードロックレーザを配置し、相対的な外乱を極力抑えた状態でその共振器長すなわち繰り返し周波数の制御を行う。また制御回路のジッタを減少させるために、モードロックレーザの繰り返し周波数そのものでは無くその高次高調波を用いて位相同期する。 これまでに同期運転可能なレーザ発振器の設計と構築、モードロック発振の確認と小型圧電素子によるキャビティ長の制御、位相同期した2台の繰り返し周波数に対してヘテロダイン周波数変換とタイムインターバルカウンタによる相対揺らぎの評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
H25年度に耐震改修工事に伴う実験室の移転がありH26年度はレーザの立ち上げと再調整に多くの時間を要したが、レーザ装置のパフォーマンスは元通りに戻り相対揺らぎを減少させるために繰り返し周波数の高次高調波を用いて位相同期を行うように制御方法を変更した。 結果、相対揺らぎは現有の電気的測定法で測定できる限界に達しており、現在はレーザパルスのチャープを補償した後に光学的に測定しながら改良を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
期間延長した最終年度のH27年度は、制御方法を更に改良し位相同期の相対揺らぎをパルス幅に比べて十分少なくすると共に、当初計画で予定していた光サンプリング法による分光イメージングへの適用を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度発注の米国製レーザ結晶のメーカー側原因による納品の遅れ(予定納期3ヶ月に対し約6ヶ月の遅れ)とH25年度の耐震改修工事による研究室移転(5月に移転先が決まり、実験室設計と移設業者との調整に1ヶ月、11月に搬出入し12~1月末は各種装置立ち上げ・調整)により当初計画と比して大幅な遅れが生じた。ほぼ完成済みのレーザシステムを用いた時間分解イメージング測定が未だ行えていないため未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
レーザシステムはほぼ完成しており、次年度はこれを用いた時間分解イメージング測定等を行うこととし未使用額はその経費(物品費:光学部品)に使用する。
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