研究実績の概要 |
複雑かつ高度に集積された分子系においては、メソスコピックなサイト依存性とダイナミックスの同時測定が重要である。時間分解イメージングでは時間と空間の2つの領域を走査する必要があるが、時間領域を走査する際には従来の超高速分光で一般的に行われている機械的な光学遅延ステージでは、高速かつ正確性の高いイメージングは困難である。なぜなら、光学遅延ステージの機械的な移動は時間がかかり、また移動によってレーザビームの広がりや重なり具合に変化が生じてしまうからである。本研究では、電気的な遅延時間の制御が可能な光サンプリング法による過渡種のイメージングを提案している。 本研究では2台のモードロック・チタンサファイアレーザ発振器を同時に使用するが、その位相雑音の多くは励起レーザ由来の雑音, 機械的振動や熱変形に由来すると考えられるので、温度調整された単一のブレッドボード上で共通の励起レーザを用いて相対的な外乱を極力抑えた。その共振器長を電気制御して繰り返し周波数の相対的な位相の制御を行うが、ジッタを減少させるためにモードロックレーザの繰り返し周波数(~80 MHz)そのものでは無くその高次高調波を用いる。 同期運転可能なレーザ発振器の設計と構築を行い、繰り返し周波数の~160次の高調波を共通のマイクロ波発振器を用いてヘテロダイン周波数変換し、高感度に位相を検出して同期させた。2台のレーザの同期状態は市販の回転ミラー型自己相関計を改造した相互相関計を用いて測定した。負帰還の制御帯域が10 kHz以下であるにもかかわらず、自己相関幅~70 fs(半値全幅)に対して同程度の相互相関幅を30分以上安定に継続して得ることができた。
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