研究課題/領域番号 |
24550025
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
松本 正和 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (10283459)
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キーワード | クラスレート化合物 / 分子シミュレーション / 結晶の安定性 / 結晶構造選択則 / 準結晶 |
研究概要 |
四面体ネットワーク性液体である水と溶融シリコンには様々な共通点があり、それらに関する知見は相互に応用可能である。そのため、本年度は水の基礎的な物性の解明に多くの時間を費した。(1)氷が融解する微視的機構を解明し、対欠陥の分離が融解初期に不可欠であることを明らかにした。(2)過冷却液体が液液相分離する現象については、新奇な物理現象として、そのメカニズムの解明が待たれている。我々は、過冷却水を広い温度圧力範囲でシミュレーションし、液液相分離が自発的に起こることを確証した。(3)高圧の氷に新奇な臨界現象が生じる可能性をシミュレーションにより初めて報告した。(4)クラスレート化合物に関しては、大きなゲスト分子がとりこまれる場合の結晶成長メカニズムを調べた。(5)また、メタンハイドレートが融解する際に、泡の生成の有無が分解速度を大きく左右することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)水をホストとする包接水和物の詳細な調査により、一部の結晶構造が不安定になる原因に目処がついてきた。 (2)微視的には、準安定相は予想よりも普遍的に存在することが、水などの相転移の研究で明らかになってきた。
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今後の研究の推進方策 |
水で構成される類似物である包接水和物(クラスレートハイドレート)のうち、ホスト格子が水以外の分子に置きかわるセミクラスレートと呼ばれる物質の安定性を調査し、4族化合物の混合クラスレートの安定化メカニズムとの関連性を調べていきたい。 準安定相を経由する相転移のダイナミクスを詳細に調べ、その制御の可能性を探る。
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