研究課題/領域番号 |
24550027
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
渡邉 祥弘 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20315055)
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キーワード | 電子状態 / 相対論量子化学 / 多参照理論 |
研究概要 |
初年度に引き続き,相対論多参照理論とアルゴリズムの開発を行った. 4成分相対論と多参照摂動論により低計算コストで相対論効果と電子相関効果の両方を十分に考慮することができる.しかしながら本研究の対象に含まれるランタノイドやアクチノイドではf電子による電子状態の記述から大きな活性空間が必要となり計算が困難となっている.参照波動関数として活性空間においてfull-CI計算(CASCI)を用いる変わりに,Occupation restricted multiple active space(ORMAS)CIを相対論に拡張し,参照波動関数とすることを導入した.また基底関数による計算精度への影響をなくすために,本研究の計算対象全てで共通に用いることができるUniversal基底関数を作成し調査を行った. ORMAS-CI計算ではCASCI計算と比べて大幅に取り扱う電子配置状態を減らしながらも安定した計算結果が得られる事が確認できた. また原子核モデルの違いによる影響調査では,原子核中心部分の波動関数の記述の問題で,点電荷モデルとそれ以外のモデル(一様帯電有限球モデルやガウス分布モデル)で生じる影響が異なることが確認できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
相対論的ORMAS-CI計算の実現により,低計算コストでかつ安定した計算結果が得られた. これらの結果は学会などで一部発表できているが,学術論文に発表できていない.
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今後の研究の推進方策 |
系統的な計算の実行とそれらの解析とまとめを行う. 結果については、学術論文や学会にて発表を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究遂行において,計算機の仕様を変更したため. 今年度導入した計算機の主メモリなどの拡張を行う.この拡張で計算で扱えるCI空間が大きくなり,更なる調査が可能となる.
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