微結晶粉末試料を用いて均一なβ相二ケイ化鉄の焼結体を得る条件と非破壊で評価する方法の確立を目指した。溶融温度1200℃及びその後の相転移温度900℃での保持時間が試料中のβ相の割合と残存空孔の量に大きく影響を与えた。実際に30 mg程度の場合で,溶融に24時間,相転移に200時間以上が必要であった。粉末X線回折とラマン分光法により試料の状態を調べ,特にラマン分光法によって結晶軸を含めたβ相試料の評価が可能であることがわかった。 紫外光電子分光法によると薄膜試料の仕事関数とイオン化の閾値が4.7 eVとほぼ同じ値を示し,ギャップの狭いp型半導体であることと一致する。今後も電子構造の研究を継続する。
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