研究課題/領域番号 |
24550035
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研究機関 | 姫路獨協大学 |
研究代表者 |
岡村 恵美子 姫路獨協大学, 薬学部, 教授 (00160705)
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研究分担者 |
安岐 健三 姫路獨協大学, 薬学部, 助手 (50714945)
原矢 佑樹 姫路獨協大学, 薬学部, 助教 (30634604) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 生物物理 / 界面・表面物性 / 超精密解析 / NMR / 膜透過 |
研究実績の概要 |
1. 前年度に実施した「細胞サイズの膜の熱揺らぎが、膜中の疎水性物質によってどのような影響を受けるか」に関する研究の成果を取りまとめた。論文は、Membrane、40巻(2015年1月発行)に掲載された。
2. 膜中のコレステロールが薬物輸送をどのように制御するかに着目し、フッ素原子を含む麻酔剤・セボフレンを用いて、セボフレンの膜輸送に関する動的多核NMRによる検討を行った。膜中のコレステロール含量を変化させながら、セボフレンの1Hおよび19F NMR化学シフト、緩和時間、拡散係数を測定した。その結果、セボフレンの膜への取り込みがコレステロールによって抑制されることを定量的に示すとともに、コレステロールによる膜の流動性の低下がセボフレンの取り込み効率を下げることを、膜脂質の拡散測定から明らかにした。成果は取りまとめて J. Oleo Sci.誌に投稿し、同誌の63巻(2014年11月発行)に論文が掲載された。
3. 親水性でありながら、疎水性の細胞膜を透過するといわれているオクタアルギニンペプチドについて、膜の熱揺らぎに基づくヒト白血病細胞株への輸送過程を、NMRを用いて分単位の時間分解で計測した。細胞内のペプチドを識別するために、フッ素標識したペプチドを合成して使用した。19F NMRシグナルの強度の変化をリアルタイムで追跡してペプチド濃度の推移を明らかにし、これをもとに、定量的な速度論への展開を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
オクタアルギニンペプチドの細胞膜透過過程をNMRで計測し、速度論に基づく解析を実施した。当初、26年度中に解析を終了する予定であったが、解析方法について再度検討を行ったため、年度内に結果を取りまとめることが不可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
オクタアルギニンペプチドの細胞膜透過過程の速度論的解析を完了し、成果を取りまとめて学術誌に公表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
膜透過に関するNMRデータ解析の再検討を行ったため、26 年度中に解析結果をまとめることができなかった。そのため、年度内に成果の公表を行うことが不可能となり、未使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
研究成果の公表を27年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てる。
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