研究課題/領域番号 |
24550043
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
岩本 啓 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (80304393)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 分子認識 / ポルフィリン人工レセプター / 基質特異性 / 分子間相互作用 |
研究概要 |
微細構造認識能を示す人工レセプター分子の合成を行った。すでに基質のわずかな違い(メチル基の有無)を認識する人工レセプターの合成に成功しているが、弱い相互作用(CH-π相互作用、van der Waals相互作用)を詳細に評価していくためには、数多くの高い基質特異性・ 選択性を示すレセプター分子を用意し、包接錯体の形成を試みる必要がある。そこで、カリックスアレーン、ポルフィリンなどの硬い構造体(モジュール)を硬いリンカーで結合した人工レセプター分子の合成を行った。 まずカリックス[4]アレーン、およびカリックス[5]アレーンのジアミン体を3種類合成した。次に硬いリンカーとなる置換芳香族部位を有するポルフィリンを4種類合成した。最後に、カリックスアレーンジアミン体とポルフィリン誘導体の両者をアミド化することで、人工レセプターを新たに4種類合成した。 得られた人工レセプター分子の基質特異性・選択性を、軸配位性基質を用い、NMR、紫外-可視分光分析により解析した。その結果、2種類の基質特異的・選択的人工レセプターを見出した。基質特異性・選択性の傾向から、(1)できるだけ硬い構造(モジュール)を硬いリンカーで繋いで包接空間を構築する、(2)基質の出入り口をできるだけ小さくし、基質がかろうじて通れるサイズにすることで、高い基質特異性、選択性が発現することが明らかとなった。また包接空間内に存在する水分子の安定性が、基質特異性・選択性に大きな影響をおよぼすことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新しく人工レセプターを4種類合成し、そのうち2種類が、基質特異的・選択的人工レセプターとなることを見出したことから、当初の計画通りに進展していると考えている。しかし、人工レセプター合成前駆体(カリックスアレーンジアミン体3種類とポルフィリン誘導体4種類)から12種類の人工レセプターの合成を検討したが、新しい人工レセプターを4種類しか得られなかった。合成戦略および分子設計の見直しの必要があると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
得られた人工レセプターと基質との包接錯体の構造解析を行う。人工レセプターと軸配位性基質との包接錯体は、方向性のある強い配位結合により、包接構造の特定が容易に行える。そこでまず人工レセプターと軸配位性基質との包接錯体の構造解析を行い、包接構造で働く弱い相互作用(CH-π相互作用、van der Waals相互作用)の評価を行う。相互作用の評価は、温度可変NMR、紫外可視分光法を用いて、錯形成における会合定数、およびエントロピー、エンタルピーの熱力学パラメーターを得、これらの値を比較して行う。次に弱い相互作用だけで包接される包接錯体の構造解析を行う。弱い相互作用だけで空孔内に包接さる小分子は、空孔内での位置の特定、構造解析が難しい。化学シフト計算プログラムの支援のもと、包接構造の解析をおこう。得られた解析結果を基に、ゲスト分子と人工レセプターの空孔内で働く弱い相互作用を評価する。 また、これまでに得られた人工レセプターだけでは、弱い相互作用の評価を行うには不十分である。さらに多くの人工レセプターの合成を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
人工レセプター合成に必要な、試薬、溶媒、シリカゲル、ガラス器具等の購入のため、多くの経費を物品費に当て、実際多くの物品を購入した。しかし、合成された人工レセプターの基質特異性・選択性の調査に時間をかけたこともあり、想定した物品費よりも少ない額の出費となった。また研究成果が出始めたばかりであり、研究成果を発表する機会が無かった。旅費は意見交換のための学会への参加のためだけに使用し、そのため、旅費が当初予定よりも少なかった。結果として、当初の予定額を下回る出費となり、次年度に使用する予定の研究費が生じた。 しかし次年度は、合成戦略および分子設計を見直してさらなる人工レセプターの合成を行うため、より多くの試薬、溶媒、シリカゲル、ガラス器具等の購入を必要とし、物品費の大幅な増加を予想している。また、今年度得られた成果を発表するため、学会への参加(既に発表登録済)も増え、旅費の増加も見込んでいる。
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