微細構造認識能を示す人工レセプター分子と軸配位性基質との包接錯体の構造解析、およびレセプターと基質間に働く相互作用の評価を行った。まず人工レセプターと基質との包接錯体を、NMRと我々が開発した化学シフト計算プログラムを用いて、その構造を明らかにした。次に温度可変NMR、紫外可視分光法を用いて、錯形成における会合定数、およびエントロピー、エンタルピーの熱力学パラメーターを得た。得られた熱力学パラメーターから、包接構造で働く弱い相互作用(CH-π相互作用、van der Waals相互作用)の評価を行った。微細構造認識能に重要な役割を果たしているCH-π相互作用の定量的な知見が得られた。 化学シフト計算プログラムの改良を行った。入力配座情報に汎用性を持たせるため、Gaussian出力ファイル、Chem3D出力ファイルなど、普及している配座計算プログラムの出力ファイルを入力はいざ情報として読み込むことを可能にした。また複数の配座情報からボルツマン分布に基づく化学シフトの予測値を計算するルーチンを実装した。
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