研究概要 |
メソイオンとは共有結合のみでは満足に書き表すことができない複素五員環化合物である。1,3-ジアルキルテトラゾリウム-5-オレートのいくつかは室温で液体となり,イオン液体と同等の高い極性溶媒であることを申請者らは見いだしている。また申請者のこれまでの研究において,メソイオン液体は電解液としてイオン液体を超える電気的性質をもつことを明らかにしているが,未だリチウム金属に対する安定性やリチウムイオン導電率においては十分とは言いがたく,実用化にはこれら問題の解決が必須である。 本研究では上記オレートを基盤としたメソイオン液体をリチウム電池の電解液として利用すべく,実用化に耐えうる性能の発現に必要となる構造上の条件を見出すことを目的とし,テトラゾリウム窒素上の置換基にこれまで以上にバラエティーに富んだアルキル鎖を確実にかつ容易に導入する手法を開発した。今年度はテトラゾールチオンへのアルキル化剤として,従来のジメチル硫酸やジエチル硫酸にかわって,アルコール/硫酸系について詳細に検討し,アルキル化の最適条件やそのメカニズムについて研究した。
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