研究課題/領域番号 |
24550052
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
南条 真佐人 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50302352)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ポリシラン / フラーレン / ドナー・アクセプター系 / 紫外可視吸収スペクトル / 発光スペクトル |
研究概要 |
種々のポリシランをナトリウム金属によるWürtzカップリングにより調製した。このとき、ドナー・アクセプター系の構築を見据えて、用いるモノマーの置換基および反応活性点の数を工夫した。反応活性点が2個であるモノマーから得られた直鎖状のポリシランをアセトンによる再沈殿法で精製することにより数平均分子量で5000~10000程度の直鎖状ポリシランを得ることができ、同様にメタノールで再沈殿させることにより数平均分子量で800~1000程度の直鎖状ポリシランを得ることができた。また、モノマーの反応活性点を3個に増加させることで、ケイ素が三次元的なネットワーク状につながったポリシランを得ることもできた。これらのポリシランの側鎖官能基を活性な置換基に変換することで良好な電子アクセプターとして知られるフラーレンをポリシラン鎖に導入することに成功した。主な成果をまとめると以下の通りである。 ・ アセトンによる再沈殿を行うことで精製すると高分子料のポリシランが得られた(数平均分子量で5000~10000程度)・ メタノールによる再沈殿を行うことで精製すると高分子料のポリシランが得られた(数平均分子量で800~1000程度)・ 三官能性モノマーでポリシランの合成を行うとネットワーク状ポリシランが得られた。・ それぞれの直鎖状ポリシランに電子アクセプターであるフラーレンを側鎖官能基を通して直接共有結合で導入することに初めて成功した。・ ネットワーク状ポリシランにもフラーレンを末端の官能基を通して共有結合で導入することに成功した。・ フラーレン含有ポリシランと、母体となるフラーレンの無いポリシランの紫外可視吸収スペクトルおよび発光スペクトルに明らかな相違が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初目標はフラーレン等を側鎖および末端に有するポリシラン合成手法の確立を目指すものであったが、平成24年度までにフラーレンとポリシランを直接共有結合で結びつけたフラロポリシランの合成に成功し、その紫外可視吸収スペクトルおよび発光スペクトルを明らかにすることができた。このことは十分に当該年度の目標をおおむね達成できたと言うことができる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度では主に、フラーレン末端を有するポリシランデンドリマーの合成を目指す。 前年度で確立させた手法を用いて、種々の直鎖状ドナー・アクセプター系ポリシランを合成すると共に、主鎖骨格が高度に規則正しく分岐したポリシランデンドリマーを調製し、その末端にフラーレンのようなアクセプター分子を導入した分岐型の主鎖骨格を有するドナー・アクセプター系ポリシランデンドリマーの創製を行う。具体的には、主鎖がケイ素で構成される規則正しく分岐した構造を有するポリシランデンドリマーを、分岐した構造を有するシリルリチウム(分岐合成試剤)を用いる発散法により合成する。得られたポリシランデンドリマーの末端は保護基であるアリール基が球状に広がった分子の外側を向いて規則正しく配列することになる。この保護基を脱保護し、前年度に確立させた手法を用いてフラーレンをデンドリマー末端に共有結合で導入させる。得られたフラロデンドリマーは、計算およびX線回折、核磁気共鳴などを用いて詳細な構造解析を行う。また、主鎖の骨格が直鎖状であるか分岐状であるかという構造がσ-共役に与える影響、光励起電子移動にもたらされる相違などを紫外可視吸収スペクトルおよび発光スペクトルなどを用いて明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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