研究課題/領域番号 |
24550056
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
三好 徳和 徳島大学, 大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部, 教授 (40219829)
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キーワード | ストロンチウム / アゾベンゼン / メタラサイクル中間体 / アルキル化反応 / Grignard試薬 / シリルクロリド / シリルエーテル |
研究概要 |
金属ストロンチウムを用いる反応として、前年度アゾベンゼンに対するアルキル化反応の予備的知見を得ていた。今回、反応条件を精査することにより、アゾベンゼンに対し選択的にジアルキル化反応を進行させることができた。また、アゾベンゼンを金属ストロンチウムにて還元すると、メタラサイクル中間体と考えられる反応中間体を収率良く生成できることがわかった。さらに、アルキルハライドを作用させると先ほどと同じようなジアルキル化体が高収率で得られ、1,ω-アルキルジハライドを作用させることで、環化生成物が比較的良好な収率で得られることがわかった。今後、メタラサイクル中間体の単離、或いは分光法を用い、その同定を行う予定である。 一方、エステルやケトンに対するアルキル化を引き続き検討したところ、対応するGrignard 試薬では進行しない基質でも、反応を円滑に行うことができることを明らかにした。 さらに、我々はストロンチウムアルコキシドが立体障害をものともしない高い求核性を有していることを既に見いだし報告している。今回、その性質を利用し、嵩高いアルコールの嵩高いシリルクロリドとのシリルエーテル化反応を検討し、シルトリフラートを用いることなく、t-BuMe2SiCl(TBSDMS-Cl)やi-Pr3SiCl(TIPS-Cl)のような嵩高いシリルロリドでも、2級、3級アルコールをストロンチウムアルコキシドとし、溶媒としてTHFに対し、DMI(ジメチルイミダゾリジノン)を添加することにより、収率良くエーテル化できることを見いだした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書には、α,β-不飽和ケトンに対し金属ストロンチウムを用い還元することにより、極性変換した反応活性種の創製を計画していたが、未だできていないこと上げられる。但し、アゾベンゼンの還元により、殆ど研究されていなかったメタラサイクル中間体の生成に成功すると共に、それから新たな極性変換活性中間体を創製できる予備的知見が得られ、還元的極性変換化学種の創製という点で、十分な結果を得た。それにより、実験はほぼ順調に進行はしている。
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今後の研究の推進方策 |
現在行っている、アゾベンゼンから生成できるメタラサイクル中間体に関する研究を継続し、さらに極性変換活性中間体へを応用することで、計画を遂行するとしたい。 また、二酸化炭素を用いる反応については、若干結果は出ているものの、論文投稿するまでには至っていない。そこで、本課題に関しては計画を作り直して行いたい。 さらに、Grignard試薬では得られない化合物を我々は得ることができる。特にネオペンチルGrignard試薬は、ネオペンチル記自身が嵩高すぎて反応性に乏しい。また、ネオペンチルハライドは、自身のかさ高さによりSN2反応を起こさないことが知られている。ところが我々の手法では用いることができ、これは用いる基質的には極性変換的である。これらの反応を精査する。 以上をまとめ報文化を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
我々が所有するNMRが一時故障し、高価な試薬を使い行う計画した実験を、一時中断した。それとともに、その実験のためのガラス器具の購入を見合わせた。その時期に、別の計画した実験を行った。 また旅費に関しては、予定していた成果発表並びに調査・情報収集のためのシンポジウムに、他の公務が入り出席を取りやめたため。 上記のように、別の計画した実験を行っていたが、本年度改めて行う予定にしており、その際に使用する。 また、旅費に関しては、H25年度に、H26年度に本計画分野にとって非常に重要な位置を占める国際会議であるICOMC2014の組織委員会委員となり、計画とは別に札幌に1週間出張する必要が生じたため、上記のシンポジウムに替えて使用する予定である。
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