研究課題
【最終年度の研究成果】1) 芳香族エンイン系のヨード環化によって得られるスピロ系化合物にトシル酸を作用させることで,ビアリール骨格を有するヘテロ多環式化合物が高収率で得られることを見出した。この酸触媒を用いる新規骨格転位反応を用いることにより,本研究推進の基盤となるブロモヘリセンの前駆体を高効率的に合成することが可能になった。さらに,得られるビアリール体は官能基変換が容易なヨード基を有しており,モデル系での結果ではあるが,オキサヘテロ[7]ヘリセンへと誘導可能であることを示すことができた。この最終段階の閉環反応はブロモ基を有する基質への適用が可能であると考えられることから,本研究成果はブロモヘリセンの量的合成に向けて有用な知見となった。2) 動的立体化学制御の研究に用いる新たなヘリセン系の構築に向けて、新規アザ[7]ヘリセンの合成に成功した。本化合物は立体化学的に安定であり,キラルカラムを用いることにより光学分割された。しかし,窒素原子上のトシル基を除去した誘導体は室温下で動的立体化学挙動を示すことがDFT計算により示されており,現在トシル基の脱離反応を検討中である。【研究期間(3年間)を通じての成果】当初計画した動的速度論分割を基盤とするキラルなヘテロヘリセンの不斉合成法の開発には至らなかったが,「パラジウム触媒を用いる環化脱水素化反応を基盤とするアザヘテロヘリセンの合成法」,「芳香族エンイン系の触媒的ドミノ環化異性化反応」,「芳香族エンイン系のドミノヨード環化反応」,「スピロ系化合物の新規骨格転位反応」など,本研究に必要なヘテロヘリセン骨格を構築する様々な有機合成法の開発に成功した。
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ARKIVOC
巻: special issue ページ: 印刷中
有機合成化学協会誌
巻: 72 ページ: 1131-1142
http://dx.doi.org/10.5059/yukigoseikyokaishi.72.1131