研究課題/領域番号 |
24550063
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
箕浦 真生 北里大学, 理学部, 准教授 (30274046)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 典型元素 / テルル / セレン / 硫黄 / 結晶構造 |
研究概要 |
化学結合の性質の観点で、13族、14族および15族元素と高周期16族元素(セレン・テルル)間のシグマ結合は、それら化合物が高反応性のため、未解明のまま残されている。本研究課題では、1)弱い化学結合をもつ新規高周期16族元素化合物群を合成し、シグマ結合の性質解明を行い、2)その高反応性を活用して新しい16族元素導入試薬として新しい有機16族元素化合物へと導く。また、元素デバイスの原料として必要な3)高反応性高周期16族元素化合物群を創製することを目的とし、有機典型元素材料の新しい化学へ繋げることを目標として研究を行っている。 24年度は、研究計画に基づき、テルル原子上にアルキルケイ素置換基を有する種々の化合物群を系統的に合成し、高反応性テルリドとして高真空下で単離することが出来た。各種スペクトルデータはもちろん、蒸気圧、熱分析を行うことが出来、系統的データを得ることが出来た。得られた化合物を用いたカルコゲン導入反応は現在検討中であるが、これについてはあまりに高反応性であるが故に、溶液中では自己分解反応が優先して起きた。 これらの検討と平行して、イミダゾール置換基を有する互変異性可能な高反応性カルコゲノールの合成検討を開始した。各種合成条件検討の結果、メシチルイミダゾール置換基を導入した高反応性16族元素カルボニル類(硫黄、セレン、テルル同族体)を合成単離することが出来た。例えば、イミダゾールテロン類は空気中では速やかに脱テルルするほど酸素に対して敏感であるが、無酸素下で単結晶を作成し、その分子構造と構造パラメーターを明らかにすることが出来た。今後はこれらを用いた反応性の検討とカルコゲン導入試薬としての可能性の探求を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に沿って、高反応性テルリド類の高真空下での単離に成功している。これらの反応性は極めて高いため、液相中での反応性の検討は予想以上に困難であることがわかった。しかし、これら検討と平行して、新たなイミダゾール置換テルロカルボニルの合成単離に成功し結晶構造を明らかに出来た。従って、今後更なる検討を継続することで、研究計画と目的を達成できるものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度新規に合成したイミダゾール置換カルコゲノカルボニル類の互変異性化能を用いて、15族元素への導入反応を行い、15-16族元素間の弱いシグマ結合の生成を目指すほか、高反応性カルコゲン化合物の弱い結合の性質解明を目的として継続的に研究を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に汎用合成試薬、典型元素試薬とガラス器具類/実験器具類の調達に研究費を使用したいと考えている。
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