高周期典型元素化合物の化学は、弱い多重結合(パイ結合)に嵩高い置換基を導入して速度論的安定化による手法により発展してきた。しかし、高周期元素を含む弱いシグマ結合の性質解明はその不安定性のため充分に行われていない。本研究では、とりわけ弱いシグマ結合をもつことで知られる高周期16族元素未踏分子群の創製を行い、それらの性質解明を目的とした。高純度試薬を調製し不安定中間体を単離することで、1)高周期16-14族元素間単結合をもつテルリド類の系統的合成と単離、2)高度に分極したイミダゾリウムカルコゲノラートの合成法の開発、3)過酸化物の酸素を高周期元素に置き換えた不飽和スルフェン酸の合成を達成した。
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