研究課題/領域番号 |
24550067
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
羽村 季之 関西学院大学, 理工学部, 准教授 (20323785)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | イソベンゾフラン / 二重求核付加反応 / ワンポット合成 / Grignard反応剤 / 分子内環化 / π共役構造 / 多成分連結法 / 有機半導体材料 |
研究概要 |
イソベンゾフランは、その独特なπ共役構造に基づく特徴的な物性や反応性を秘めている。例えば、イソベンゾフランをジエン成分とする[4+2]環付加反応を利用した多環式化合物の合成は、その好例である。しかし、イソベンゾフランはその高い反応性のため、用事調製されるのが専らであり、その合成的利用は限定されている。一方、最近我々は、これまで取り扱いが難しいと考えられていたイソベンゾフランを、適切な条件で純粋に単離・精製できることを見出している。この貴重な発見を鍵として、独自の分子変換を行う機会に恵まれている。しかし、この合成法では、反応の完結のために同モル量のテトラジンが必要であること、また副生成物として同モル量のジアジンが生じることから、経済性や原子効率の点で満足のいくものではない。そこで本研究では、多様なイソベンゾフランを効率良く合成するための新しい合成法の開発とこれを基盤とする新しい機能性分子の創製を目指して研究を行った。その結果、オルトホルミル安息香酸エステルへの二重求核付加反応を鍵としてイソベンゾフランがワンポットで合成できることを見出した。すなわち、オルトホルミル安息香酸メチルに対して、フェニルマグネシウムブロミドを作用させ、アルデヒド部位への選択的な求核付加と引き続く分子内環化反応によってラクトンを得た後、再度フェニルマグネシウムブロミドを作用させると、対応するジフェニルイソベンゾフランが収率良く得られることが分った。さらに、この反応では異なるGrignard反応剤を順次作用させることによって、非対称型のイソベンゾフランを簡便に合成することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
置換イソベンゾフランのワンポット合成法の開発に成功した。この知見はイソベンゾフランを母核とする新奇π共役系分子創製のための有効な知見である。
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今後の研究の推進方策 |
オルトホルミル安息香酸メチルへのGrignard反応剤の二重求核付加反応を鍵として、種々の置換イソベンゾフランを簡便に合成することを明からかにしたが、今後この反応の応用・展開としてベンゼン、ビフェニレン、アルキンをπ連結ユニットとするイソベンゾフランオリゴマーの合成に取り組む。これまで、イソベンゾフランオリゴマーはほとんど手付かずの分子群であり、これらの分子の合成を通じて新しい物性の開拓と機能性分子の創製を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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