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2013 年度 実施状況報告書

電荷分離型中性配位子を利用した多孔性軽金属錯体の構造多様化

研究課題

研究課題/領域番号 24550068
研究機関北海道大学

研究代表者

野呂 真一郎  北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (70373347)

キーワード多孔性金属錯体 / 吸着 / 分離 / 軽金属イオン
研究概要

金属イオンと有機配位子から構築される多孔性金属錯体は設計性と構造多様性に富んでおり、また軽量・柔らかいといった特徴を持つことから、既存多孔性材料を超える優れた分離・吸着・触媒機能を発現することが期待される。これまで、金属イオンとして結晶化
の容易な重金属イオンが頻繁に用いられてきたが、重金属イオンは希少元素であるものが多く、またその重量が多孔性機能を低下させる原因となっている。そこで本研究では、不活性な電子・磁気・光学特性および合成の困難さから報告例がほとんど無い高クラーク数
軽金属イオンを含んだ多孔性軽金属錯体の精密設計・合成に関する基礎研究を行った。
平成25年度は、平成24年度に得られた2種類の新規多孔性軽金属錯体の吸着分離機能の詳細な評価を行った。軽金属錯体はMgまたはCaイオンと電荷分極型中性配位子Lとアニオン性配位子から構築される3次元骨格を有し、1次元の細孔を有していた。室温における単成分ガスの吸着測定結果から、二酸化炭素がメタンよりも高選択的に分離できることが分かった。そこで、二酸化炭素:メタン=40:60の混合ガス(バイオガスの典型的な組成)を用いた破過曲線の測定を行ったところ、両軽金属錯体共にメタンが先に破過し、その数分後に二酸化炭素の破過が見られた。以上の結果からこれら軽金属錯体が混合ガスの分離に利用できることを実証することができた。さらに、脱着特性についても検討を行い、室温1分の真空処理によりMg錯体に吸着された二酸化炭素のほぼ100%を脱着できることが明らかとなった。比較のためゼオライトにおいて同様の実験を行った結果、二酸化炭素回収率は70%となった。以上の結果から、Mg錯体は高選択的分離特性と容易な脱離能を兼ね備えた実用材料となり得ることが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本研究で得られた多孔性軽金属錯体が、材料合成、構造評価に留まらず高選択的分離特性と容易な脱着能を兼ね備えた実用材料となりえることが分かったことから、本研究は当初の計画以上に進展している。

今後の研究の推進方策

H26年度は、より合成が困難な一価の軽金属イオン(Li, Na, K)を含む多孔性軽金属錯体の合成を試みる。一価の軽金属イオンに適した三つ以上の配位サイトを有する一価のアニオン性有機配位子を新規に設計、合成する。

次年度の研究費の使用計画

経費節減により、若干の残額が生じた。
新規有機配位子合成のための試薬購入。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)

  • [学会発表] 電荷分極型中性配位子を用いた多孔性軽金属錯体の合成と吸着・分離特性2014

    • 著者名/発表者名
      野呂真一郎、水谷純也、土方優、久保和也、中村貴義
    • 学会等名
      日本化学会第94春季年会
    • 発表場所
      名古屋大学(名古屋市千種区)
    • 年月日
      20140328-20140331
  • [学会発表] 特異構造を有する高分子状金属錯体のガス分離特性2014

    • 著者名/発表者名
      野呂真一郎
    • 学会等名
      東京理科大学総合研究機構分子連関相乗系研究部門平成25年度成果報告会
    • 発表場所
      東京理科大学(東京都新宿区)
    • 年月日
      20140315-20140315
    • 招待講演
  • [学会発表] 高選択的ガス分離能を有する多孔性金属錯体の開発2014

    • 著者名/発表者名
      野呂真一郎
    • 学会等名
      野口遵研究助成金講演会
    • 発表場所
      如水会館(東京都千代田区)
    • 年月日
      20140311-20140311
    • 招待講演

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公開日: 2015-05-28  

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