現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
常温で水素分子により二酸化炭素分子を還元し、再生可能な天然由来水素源であるギ酸として、触媒的に二酸化炭素固定を行い、逆にギ酸を分解して水素を取り出すことが可能となる金属錯体触媒系を構築し、本研究の主目的の1つを既に達成して Energy & Environmental Science (2012), 5, 7360 (Impact Factor 9.61) に報告できた。また、他の再生可能な天然由来の水素源と水素との相互変換については、天然由来の脂肪族アルコールを水素源として有機金属アクア錯体を還元してヒドリド錯体に変換できることを見出し、pHを変化させるだけで温和な条件で水素を取り出せることを見出して Journal of the American Chemical Society (2012), 134, 9417 (Impact Factor 9.91) に報告した。これらの成果が国際的にも認知され、招待を受けて Dalton Transactions (2013), 42(1), 18 (査読有) にReviewとして発表した。本研究を推進する途上で、光電荷分離分子をメソポーラスシリカに固定化することで長寿命電子移動状態が実現し、有機基質の選択的光酸素化触媒反応が可能となることを初めて見出し、PNAS (2012), 109, 15572 (Impact Factor 9.68) に発表すると同時に新聞報道もされて研究成果を社会へも発信できた。この研究は、今後、本研究の触媒系を固定化して持続的に利用する際の指針となり、特筆すべき成果である。
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