研究課題/領域番号 |
24550082
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
篠崎 一英 横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科, 教授 (40226139)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 白金錯体 / 発光色制御 / メカノクロミズム / 青色発光材料 / エキシマー発光 |
研究概要 |
本研究は、白金錯体に代表される無電荷錯体に着目し、配位子間のπ-π相互作用や金属―金属相互作用を自在に操ることで、青色・緑色・赤色・黄色発光を示す錯体固体を作成する手法を確立を目的としている。平成24年度は主にRGBに不可欠な青緑色発光を示すN~C~N配位子を有する白金錯体を合成した。置換基の電子供与性・電子吸引性を利用してHOMOおよびLUMOのエネルギーを変化させ、これまでに知られていた490nmで緑色発光を示す白金錯体よりも13nm短波長化させ青緑色の発光を得ることに成功した。また、溶液中での配位子間π-π相互作用により、赤色に発光色を変化できることについても確認した。その成果は、平成24年9月富山大学で開催された錯体化学会第62回討論会、平成24年3月立命館大学で開催された日本化学会春季年会にて報告した。また、固体状態での発光色変化について検討した。特に緑色発光を示す白金錯体について、「すりつぶし」と「アニーリング」によるリバーシブルな発光色制御についても検討した。すりつぶた試料とすりつぶしていない試料を加熱すると、両方とも発光色の変化が見られた。すりつぶし無の試料は300℃で黄緑色発光から緑発光へ変化し、アモルファスとなっているすりつぶし試料は170℃付近でオレンジ発光から黄色発光へと変化することが分かった。すりつぶすとアモルファス化しアニーリングすると結晶化することをXRDにより確認し、相転移に関してはDSC(differential scanning calorimetry)の測定により確認した。発光色と結晶構造との関連について、明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
N~C~N型3座配位子を白金錯体について、分子軌道計算を活用して青緑色錯体を作成できたこと、この錯体についてもエキシマー発光を観測できたこと、緑色発光固体試料について「すりつぶし」と「アニーリング」による発光色変化を観測したことは、「単一物質によるRGB多色発光」の観点から意義深いと考えられる。この配位子には複数のフルオロ基を導入できる可能性があることから、青色発光材料の開発とRGB多色化の目途もたった。
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今後の研究の推進方策 |
現在は電子吸引性のフルオロ基を1つ、電子供与性のメチル基を2つ導入した配位子を合成したので、もう一つフルオロ基を導入、メチル基よりも強力な電子供与基を導入して、さらなる単波長化を目指す。固体状態でのすりつぶしによる発光長波長化とアニーリングによる短波長化を駆使して、固体状態でのRGB発光条件を探索する。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に試料作製の消耗品と成果発表のための旅費・参加費に使用する。また、外国の学術雑誌に投稿する際の校閲にも充てる。
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