研究概要 |
今年度は計画とおり金属イオンCo2+と配位子1,4-benzenedicarboxylateからなる磁性ポーラス金属錯体の単結晶作製を行った。それ以外に新規二層のシート状水分子が有機分子(Cucurbit[6]uril)によって分離された新しい結晶作製を行った。また、新規強誘電性と伝導性を合わせ持つ新規誘電体を作製するため、伝導性担う物質を「ナノ空間」に投入可能な小さい伝導性金属錯体分子[Ni(ddt)2](ddt=1,4-dithiin-2,3-dithiolate)結晶作製を行い電気的性質を調べた結果高圧下で金属になることを発見した。 1、大きい「ナノ空間」を持つ金属イオンCo2+と配位子1,4-benzenedicarboxylateからなる二次元的構造を持つ結晶作製に成功した。しかし、結晶が小さいため完全な結晶構造は得られていないが、磁性の測定では反強磁転移を示すことを発見した。 2、ナノシートの空間を有する新しい分子性結晶に有極性分子としは、水の層入っている単結晶作製を行い、結晶構造解析および誘電特性測定を行った。その結果、室温付近で大きな誘電異常が観測された。室温付近で水分子の振動が大きく、低温結晶構造解析を通じて水の位置を決める必要があることが判明した。 3、新規強誘電性を持つ分子素子などに応用可能な物質を作製するため、ポーラス金属錯体の「ナノ空間」に入ることが可能な小さい金属錯体分子[Ni(ddt)2]の伝導特性を調べた。この物質は中性であるため、ポーラス金属錯体に入ることが可能であり、ポーラスの特性には影響しないと考えられる。また、この物質の結晶は常圧で半導体であるが、圧力をかけると新しい金属状態になることを発見した。
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