研究課題/領域番号 |
24550092
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
水口 仁志 山形大学, 理工学研究科, 助教 (30333991)
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キーワード | バイオセンサー / 電気化学センサ- / フロー電解セル / トラックエッチ膜 / 酵素センサー |
研究概要 |
本研究の目的は、試料液を通すだけで全電解が可能なトラックエッチ膜フィルター電極と固定化酵素を積層した新しい集積化酵素センサーシステムを提案することである。本研究で提案するシステムは、固定化酵素をトラックエッチ膜フィルター電極で挟んだ構造であり、アスコルビン酸や尿酸のような共存物質を分解しつつ酵素反応で生成した過酸化水素を検出電極で検出する原理である。 平成25年度は、当該システムの動作における各種条件の検討を行った。固定化酵素の前段に配置された作用電極において、スパッタリングで作製した電極を2枚重ねることによってヒトの血液に含まれる濃度レベルでの尿酸やアスコルビン酸を分解除去できることがわかった。このことは、対象とする試料の共存物質にあわせて作用電極として積層する枚数を変化させれば良いことを示している。過酸化水素を検出する際には、固定化酵素の後段に配置する検出電極の枚数によって感度が異なることがわかった。また、流速が大きくなるほど、検出電極における過酸化水素の酸化による電流値は大きくなるが、同時に固定化酵素のとの反応率が低下するため、本研究で提案するシステムでの流速はこれらのことを考慮したうえで最適値を決定する必要があることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、作製したセンサーシステムの動作条件について検討しその改良方針について検討した。その結果、固定化酵素の前段に配置する作用電極の枚数と共存する妨害物質の分解能の関係、および後段に配置する検出電極の枚数と過酸化水素の検出能の関係が明らかとなり、これらの分解能、検出能における流速の影響についても明らかとなった。また、固定化酵素を搭載した場合においても流速による検出感度への影響が明らかとなり、本研究で提案するシステムの設計指針が明確となった。また、フローインジェクション分析系だけでなく、連続流れ方式においても十分に動作し濃度変化において鋭敏に応答することも確認された。以上、平成25年度は当初計画通りに順調に進展したといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでに明らかとなった諸条件の検討結果を基にして、実試料への応用研究を進めることで将来的な実用化に備える。特に食品分析を目指す場合には、作用電極の枚数とニーズの関係を考慮して設計する。また、微少量試料へ対応するためフロー電解セルの小型化を同時に進めることとする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度における残額は消耗品の未入荷のために生じた少額のものであり、予算執行は当初計画通り行われている。 平成26年度内に薬品・消耗品費として使用する計画である。
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