研究課題/領域番号 |
24550097
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
永谷 広久 金沢大学, 物質化学系, 准教授 (90346297)
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研究分担者 |
井村 久則 金沢大学, 物質化学系, 教授 (60142923)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | デンドリマー / 液液界面 / 電位変調分光法 / イオン移動 / 包接 |
研究概要 |
溶液内および分極された液液界面におけるデンドリマーのアニオン性ポルフィリン包接挙動と界面反応機構の分光学電気化学解析、およびデンドリマーの化学処理や金ナノドットの包接を組み合わせた光機能性デンドリマーの合成と物性評価を行った。デンドリマーの界面挙動はpHやデンドリマーの世代に依存して変化し、アニオン性ポルフィリンとの相互作用および包接・放出過程を含む界面反応機構を明らかにした。 金属ポルフィリンは酸性条件下で金属脱離とプロトン付加反応を生じるが、デンドリマー共存下では包接・安定化され、プロトン付加体の生成が抑制されることを見いだした。また、中心金属のないポルフィリンは、デンドリマーの保護剤としての効果が弱くなるとともに、プロトン付加体の会合体形成を促進することを明らかにした。デンドリマーとアニオン性ポルフィリンの相互作用と界面反応機構を電位変調ボルトフルオロメトリーで分光電気化学解析した。デンドリマーはポルフィリンと会合体を形成したまま吸着過程を伴って相間移動していることを確認し、包接安定性にはポルフィリンの中心金属が強い影響を与えることが明らかとなった。デンドリマーとポルフィリンの会合体形成による安定化エネルギーを見積もり、中心金属を有するポルフィリンが高い世代のデンドリマーと安定な会合体を形成することを明らかにした。 デンドリマーの光機能化に関する研究では、ペルオキソ二硫酸による化学処理によって無蛍光性のデンドリマーに強い蛍光特性を付与し、界面反応機構を分光電気化学的に解析した。また、金ナノドットをin situ合成することによってデンドリマー保護金ナノドットを合成し、発光特性を評価した。いずれの場合もデンドリマーの界面反応挙動は光機能化によって影響を受けなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度実施した研究内容と成果は、概ね当初計画に沿ったものである。デンドリマーの包接機能の評価については、アニオン性ポルフィリンとその亜鉛(II)錯体をモデル系として用いて界面反応機構の解明と包接安定性の定量的評価を行った。また、デンドリマーのペルオキソ二硫酸処理による蛍光性の付与とデンドリマー保護金ナノドットのin situ合成にも成功し、光機能性の基礎的検討と界面反応性の分光電気化学解析を実施した。これらの結果は、次年度以降に実施予定のデンドリマーによる電気化学分離・検出反応への応用や環境感応型蛍光プローブの開発に向けた基礎的かつ必須の知見として大変重要である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの結果から、デンドリマーの有機分子や金属化合物との相互作用・分子包接には、多点相互作用や金属への配位特性が大きく寄与していることが示唆された。また、デンドリマーの光機能化による界面反応性に影響を与えることなく、強い蛍光性を付与することに成功している。これらを踏まえて、有機分子や金属イオンとデンドリマーの包接安定性を幅広く検討して分離化学的応用を進めるとともに、光機能性デンドリマーによる分子包接を利用した高感度検出反応系の構築を試みる。 (デンドリマーによる電気化学分離・検出反応への応用) 有機分子・金属イオンとの包接安定性と電気化学的に分極した液液界面における分配挙動について評価する。有機分子には各種キレート試薬を用い、デンドリマーのインテリアへの濃縮を通じた金属イオンの錯形成効率の向上と界面電位差による相間分配制御を行う。キレート試薬には、デンドリマーとの構造類似性による包接安定性が期待でき、多様な金属イオンと錯形成するエチレンジアミン四酢酸を出発反応系として用いる。各種金属イオンに対する反応挙動を評価するとともに、水への溶解度が低い各種キレート試薬に展開する。内包されたキレート試薬の錯形成と界面反応・相間分配機構については分光電気化学的に解析し、微量金属イオンの電気化学的分離に応用する。 (光機能化デンドリマーの高感度分光光度試薬としての機能評価) 光機能化デンドリマーに金属イオンまたは有機分子を包接させることによって、高感度分光光度試薬としての機能性を評価する。さらに、界面挙動や膜吸着性を電位制御できる機能性蛍光プローブとして応用するため、界面活性剤共存下の液液界面における反応挙動を分光電気化学的に解明する。
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次年度の研究費の使用計画 |
必要な性能を有する周波数特性分析器を安価に導入することができたため、余剰金を測定システムの拡張に用い、研究効率を改善する。
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