研究課題
これまで疎水性ポリスチレンと親水性ポリビニルピリジンからなる両親媒性ブロックコポリマーが,自発的に形成するナノスケールの規則構造を“自己組織化ナノ構造テンプレート”として,これを金ナノ粒子溶液に浸漬させるだけでテンプレートのナノパターンに沿って金ナノ粒子を配列する自己組織化技術を開発した.さらに,粒子表面にビオチンを固定化したバイオコンジュゲートナノ粒子アレイを作製し,アビジンをナノ粒子の光学特性変化を通じて検出できることをつきとめた.また,金ナノ粒子と基板との間に蛍光色素層を設けた金ナノ粒子アレイでは,金ナノ粒子の電場増強効果によって,色素(ローダミンBへキシルエステル)の蛍光強度が増大することを見出した.しかし,表面プラズモン共鳴励起増強蛍光スペクトル(SPFS)は,金属ナノ粒子近傍で発生するエネルギー移動など金属消光現象により,励起場として利用できる局在場光の分布が複雑である.この局在場光を最大限に活用するには,金属ナノ粒子アレイと蛍光色素層間の距離を最適化する必要がある.そこで,金属ナノ粒子アレイと蛍光色素層間にスペーサー層を設け,励起増強蛍光効果の距離依存性について検討し,スペーサー層の膜厚を最適化した.さらに,ビオチン-アビジン系を利用して,SPFSを利用したバイオセンサーへの応用について検討した.金ナノ粒子表面にビオチンを固定化した後,HEPES緩衝液中アビジンを添加し,SPFS変化を観察した.アビジンの濃度が増すに従って蛍光強度が減少した.これは金ナノ粒子表面に固定化されたビオチンにアビジンが結合し,金ナノ粒子の局所電場が変化することによって,増強効果が減少したものと考えられる.SPFS変化を通じて粒子表面で進行する分子認識現象の検出が可能であり,バイオセンサーへの応用が期待される.
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分析化学
巻: 64 ページ: -