研究課題/領域番号 |
24550104
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
真木 俊英 長崎大学, 産学官連携戦略本部, 准教授 (10291535)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 炭素酸素結合形成 / ニトロメタン / t-ブチルエーテル |
研究概要 |
ベンジル基,およびt-ブチル基は水酸基の保護基として優れた特性を有しており,高機能なエーテル系化合物を合成するために有用な化合物である。しかしベンジル基,t-ブチルエーテルの合成法は強塩基条件,強酸条件などの極限条件が適用される反応であり,他の官能基と共存可能な,温和で簡便な方法の開発が望まれていた。この様な背景の下,私達の研究目的である,分子認識型のデバイスの候補化合物を効率的に合成するためには,水酸基を簡便に保護する必要があった。そこでいくつかの検討を行った結果,3級アミン条件下において,ベンジルブロマイド,p-メトキシベンジルクロリドを作用させる求核的エーテル結合形成反応を開発した。また,アルコールに対して銅(II)触媒存在下,二炭酸ジt-ブチルをニトロメタン中で作用させることにより,容易に炭素-酸素結合形成反応が進行することを見出した。これらの反応は,エステル化合物の共存下で進行させることが可能であり,ジオールの選択的なアシル化と組み合わせることにより,ラセミ化を生じることなく容易に光学活誘導体を得ることが可能である。また,一般に困難とされている3級アルコールなどの嵩高いアルコールへも適用可能であった。この様に高度な分子認識デバイスを合成するための重要な基本反応の一つを独自に開拓することに成功した。 続いて,アミノ基を有する配位子候補としてビスオキサゾリン型分子の構築を進めた。これらの化合物の合成は,我々の研究成果以外にも既に多くの蓄積があり,既知の合成法に沿って合成を進め,鍵となるエステルを有するビスオキサゾリン化合物の合成を完了した。今後は,これまでに得られている各種のコンポーネントを組み合わせた分子種の合成を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的の化合物を合成する目処がほぼついており,より高度な分子認識素子へのアプローチも順調に推移している。分子の単離精製に課題が発生する可能性も予想されるが,基本的な分4種は既にそろっている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,高度な分子認識素子のデザインと合成を行う。必要に応じて新しい合成法を開拓する。次いで,合成した分4種を用いた測定を行う。分子デバイスの応答特性を検証して,分子の特徴の絞り込みを行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定していない。
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