研究課題
本研究の目的は、肝におけるコレステロール代謝異常による先天性奇形疾患であるスミス-レムリ-オピッツ症候群(Smith-Lemli-Opitz Syndrome:SLOS)を対象とし、本疾患の特異的指標(疾患バイオマーカー分子)として期待される異常胆汁酸(abnormal bile acid)の代謝産物標品の化学合成を行うと共に、液体クロマトグラフィー-タンダム質量分析(LC-MS/MS)法を用いるメタボローム解析を行い、本疾患早期発見と確定診断に寄与することにある。SLOS疾患は胎児、新生児において重篤な疾病であり、その早期発見と対症療法が極めて重要視されているものの、本疾患のバイオマーカーの特定とメタボリックプロファイリングは確立されておらず、その解明が焦燥の急務課題とされている。本研究は特にSLOS疾患に対象を絞り、その包括的な化学的診断法システムを構築し、広く臨床の場に提供しようとするものである。なお、SLOS疾患は肝において、7-デヒドロコレステロール前駆体からコレステロールへの変換を司る生合成最終過程で作用する酵素の欠損あるいは活性低下に起因することから、7-デヒドロコレステロール レダクターゼ欠損症(Dhcr7)とも称される。平成24年度はコレステロールから3,4-ジヒドロキシ-コレスタン-5,7-ジエン立体異性体の化学合成を高収率・高選択的に達成した。引き続き、実施計画に基づき1,3-ジヒドロキシ-コレスタン-5,7-ジエン、3,5-ジヒドロキシ-コレスタン-7-エン等、SLOS疾患に特異的な指標として期待される疾患バイオマーカー分子を高度な有機合成化学的手法を用いて調製することを目的としている。
すべて 2014
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Proc. Natl. Acad. Sci. USA.
巻: 111 ページ: E3297-E3305
10.1073/pnas.1400062111
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