核磁気共鳴法の試料溶液としては100% 重水が測定しやすいが、溶媒置換の操作が不可避となり、貴重な試料を損失することがある。本研究では、軽水溶液(95% H2O+5% D2O)として測定可能であり、ターゲットであるレセプター分子と結合するリガンドを、精確に検出できる高感度な測定法の開発を行った。具体的には、飽和移動差スペクトル法およびWater-LOGSY法をベースに、巨大な水シグナルを効率的に消去し、高感度化を目指した。本法の特徴は、13C, 15Nなどの高価な安定同位体を使用せずに、1次元1Hスペクトルより、目的のリガンド分子を短時間で検出できることにある。
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