研究実績の概要 |
ジアゾイミン誘導体を環状アゾメチンイリド前駆体とする8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン骨格の不斉合成に関するテーマでは,2-(2-ジアゾアセチル)ベンズアルデヒドO-メチルオキシムをジアゾ基質とする2-アクリロイル-3-ピラゾリジノン誘導体との反応において,(R)-ビナフチルジアミン誘導体とトリフルオロメタンスルホン酸銅(II)から調製した錯体(20 mol%)を触媒として,反応の再現性を確立し,収率82-92%,エナンチオマー過剰率97->99% eeでexo-体のみが選択的に得られることを明らかにした.また, 2-ジアゾ-1-[2-(4,5-ジヒドロイソオキサゾール-3-イル)フェニル]エタノン誘導体を前駆体とする反応においては,イソオキサゾリン環上の5位のジメチル基やベンゼン環状上の4位メチル基に関する一般性の検討を行い, (R)-ビナフチルジイミン誘導体とテトラフルオロホウ酸ニッケル(II)六水和物から調製した錯体(20 mol%)を触媒として用いると,収率52-53%,エナンチオマー過剰率89-95% eeでexo-体のみが選択的に得られることを見出した.1-ジアゾ-5-フェニル-2,5-ペンタンジオン誘導体をカルボニルイリド前駆体とした5-ブロモ-1-メチルインドール親双極子剤との不斉環化反応においては,ジアゾ基質のベンゼン環状上のp-位の置換基が選択性に及ぼす効果を検討し,酢酸ロジウム(2 mol%)およびキラルなビス(オキサゾリニル)ピリジン-ルテチウムトリフラート錯体(10 mol%)を組み合わせた触媒系を用いる条件下,メチル基,エチル基,メトキシ基,およびブロモ基などを有する基質に対して,良好なexo選択性(exo:endo = 80:20-94:6)並びに高エナンチオ選択性(85->98%)で付加環化体が得られることを明らかにした.
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