研究課題/領域番号 |
24550118
|
研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
原田 俊郎 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (30135628)
|
研究分担者 |
楠川 隆博 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (70300720)
|
キーワード | 不斉触媒 / 不斉合成 / 合成化学 / 不斉付加反応 |
研究概要 |
官能基化アルキルホウ素反応剤の触媒的不斉付加: 安価で入手容易な末端アルケンとアルデヒドを原料に用いる光学活性体第二級アリルアルコールの触媒的不斉合成法の開発に成功した。末端アルケンとボランジメチルスルフィド錯体との反応により調製したトリアルキルボランを過剰量のテトライソプロポキシチタン存在下、DPP-H8-BINOL-チタン触媒によるアルデヒドへの不斉付加に用いることにより、多様な光学活性体アルコールを高エナンチオ選択的に合成することができた。本反応には、ハロゲン原子、エーテル、エステル並びにシアノ基など様々な官能基を持つホウ素反応剤が使用でき、対応する多官能性アルコールの不斉合成に利用できることも明らかにした。 アルケニルアルミニウム反応剤の触媒的不斉付加: 末端アルキンのニッケル触媒ヒドロアルミ化により調製したα置換-アルケニルアルミニウム反応剤がDPP-H8-BINOL-チタン触媒存在下でアルデヒドに不斉付加反応を起こし、対応するアリルアルコールを高エナンチオ選択的に与えることを見いだした。ヒドロアルミ化に使用するジメチルアランはクロロジメチルアルミニウムと水素化ナトリウムの反応により容易に合成できることも明らかにした。一般に、末端アルキンのヒドロメタル化反応ではβ置換アルケニル金属反応剤が位置選択的に生成するため、不斉付加により生成するアリルアルコールは、β置換体に限られてきた。本反応は、末端アルキン原料にα置換アリルアルコールを不斉合成する始めての例である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
有機ホウ素反応剤の触媒的不斉付加に関しては当初の研究計画が概ね達成され、研究成果を論文発表することができた。また、有機アルミニウム反応剤の不斉付加にも本触媒系が適用できることも明らかにし、研究成果を論文発表した。さらに、アルキンのカルボアルミ化により調製した三置換アルケニルアルミニウム反応剤の不斉付加に関しても一定の成果が得られたが、エナンチオ選択性の一層の向上のために反応条件の探査が必要である。
|
今後の研究の推進方策 |
三置換アルケニルアルミニウム反応剤の触媒的不斉付加に関しては、エナンチオ選択性の改善を目指し反応条件の探査が継続する予定である。臭化アルケンのリチオ化で調製したアルケニルリチウム反応剤のアルデヒドへの触媒的不斉付加は、アルケニルチタン中間体が不安定で分解する問題がある。この課題を克服すべく、亜鉛反応剤へのトランスメタル化を検討する予定である。
|