研究課題/領域番号 |
24550122
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
福山 高英 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60332962)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アルコール / 水素移動型反応 / α位アルキル化 / ケトン / ルテニウムヒドリド / アセトアミド / 窒素系配位子 |
研究概要 |
アルコール類は入手容易な炭素原料であり、有機合成において重要な出発基質である。しかしながら、脂肪族アルコールの炭素上に直接官能基を導入することは困難であるため、酸化反応やハロゲン化等により、より反応性の高い化合物に変換し官能基を導入する手法が一般的である。本研究では、遷移金属触媒によるアルコールの水素移動型反応を活用することで、脂肪族アルコールの直截的な官能基化反応を開発することを目的とする。 平成24年度は主にアルコールのα位官能基化について検討した。近年アルコールを用いた、ケトンのアルキル化反応が有用な炭素-炭素結合形成反応として広く研究されている。申請者はRuHCl(CO)(PPh3)3触媒を用いたケトンのα位アルキル化について検討を行った。本触媒系では弱塩基であるCsCO3を用いることが可能であるが、ベンジル型アルコールでは反応が良好に進行するものの、単純脂肪族アルコールでは反応が非効率であるという問題点を有していた。本反応の一般性拡張のため、配位子の再検討を行なった。その結果、窒素系2座配位子である1,10-phenanthrolineを添加することで単純脂肪族アルコールを用いても良好に反応が進行することを見いだした。さらに、これまでに報告例が限定されている単純なアセトアミド類のα位アルキル化について検討を行った。本反応においては窒素系3座配位子の添加が有効であることを明らかとしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はアルコールα位の官能基化について充填的に検討を行なった。その結果、ルテニウムヒドリド錯体触媒による、アルコールを用いたケトンのα位アルキル化が良好に進行することを見いだしている。平成24年度の検討により、窒素系配位子を添加することでベンジル型アルコールのみならず、単純脂肪族アルコールとの反応も良好に進行することを見いだしている。さらに、単純アセトアミド類のα位アルキル化も良好に進行することを見いだしている。一方、アルコールβ位、γ位の官能基化についてもすでに検討を始めており、平成25年度に本格的な検討を行なう準備は整っている。以上より、本研究はおおむね順調に進展しているものといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、単純脂肪族アルコールのα位、β位、およびγ位の官能基化を初年度に引き続き継続して検討するが、特にβ位、およびγ位の官能基化について注力する。ガラスフラスコ等のバッチ型反応装置に代わり、熱効率、混合効率に優れたマイクロリアクターを活用することでフロー型反応系の構築を目指す。また、初年度に得た知見をもとに、異なる官能基を複数の炭素上に一挙に導入するマルチ官能基化反応の開発に取り組む。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に遷移金属触媒、有機試薬、ガラス器具等の消耗品の購入に充てる。また、初年度に得た成果発表のための学会等への参加のための旅費、学術論文の英文校閲費等に充てる。
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