研究課題/領域番号 |
24550126
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
山田 陽一 独立行政法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 副チームリーダー (50317723)
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キーワード | 有機合成化学 / 固定化触媒 / 高分子金属触媒 / シリコン基板 |
研究概要 |
我々の独自の研究成果である触媒膜導入型マイクロリアクターによる触媒反応の高い反応効率原理をもとにして、さらなる微小空間であるナノ空間に金属触媒の固定化を目指した。ナノ空間担体担持型金属触媒は、極めて高活性な触媒となること考えた。 その結果、シリコン表面に多数のシリコンナノワイヤーアレイが組み込まれ、その表面にパラジウムナノ粒子が担持された、シリコンナノ空間型パラジウムナノ粒子触媒の開発に成功した。この触媒は、溝呂木-ヘック反応をはじめ、インドール・チオフェンのC-H結合修飾化反応、アルケンの水素化、ヒドロシリル化に適用できることを見出した。さらに、触媒活性の低下なく、触媒が10回の再利用できることを確認した。 驚くことに、0.5 mol ppm未満 (0.000049 mol %) の触媒により、溝呂木-ヘック反応が効率的に進行し、対応する生成物が定量的に得られた。この時の触媒回転数は200万であり、固定化触媒を用いた溝呂木-ヘック反応における最高の触媒回転を示した。この成果は、Angew. Chem. Int. Ed. に HOT PAPER として掲載され、各種新聞で報道され、雑誌で研究成果紹介記事が掲載された。 さらに、ポリスチレン-ポリエチレングリコール樹脂に鉄ナノ粒子を導入することにより、水中で有機変換反応が温和な条件で進行することを見出した。この触媒を用いることでフロー型水素化反応が滞留時間1分程度で進行し、対応するアルカンを高い収率で与えることを見出した。その結果,国際有力化学誌であるGreen Chem.に掲載されるとともに,貴金属触媒からの脱却に成功したことが新聞報道された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画で想定していた以上の結果を得ることに成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、研究遂行し、耐久性を兼備した工業的応用を志向した固定化触媒の開発を目指すとともに、様々な固定化触媒の開発応用を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
有機合成実験用消耗品が予定より安価に購入できたことにより、10千円未満の予算を次年度に繰り越した。 消耗品購入に充てる。
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