研究実績の概要 |
最終年度には、モノマーとなるエステル基を有するジアルキン化合物が、2回のチオール・エンクリック重合に関与することを利用してスルフィド含有ポリエステルゲルを調製した。続くオキソン酸化により骨格にスルホニル基を有するポリ(エステル-スルホン)ゲルを合成した。本研究では、これを電気泳動堆積 (EPD)法によって陽極(+)側に選択的に堆積させることまで確認できている(高須ら、Polym. J. 2014)。ポリ(2-オキサゾリン)類も、低毒性の生体材料として注目されている。以下の図式に従い、二重結合を有する2-オキサゾリンの開環重合とクリック反応を組み合わせて側鎖にスルホニル基を有するポリ(2-オキサゾリン)が合成できた。得られたスルホニル基を有するポリ(2-オキサゾリン)と生体活性ガラス(バイオガラス 45S5)を用いてコロイド分散液を調製し、EPDを行うことでバイオガラスとポリ(エステル-スルホン)の複合膜を作製し、物性、材料表面の組成などを評価した。EPDを行った結果、バイオガラスとの安定な複合膜を陽極(+)選択的に形成することができた。さらに、疑似体液中でヒドロキシアパタイトの再石灰化も確認することができた。さらに、ヒト血管内皮細胞の接着挙動を評価した結果、細胞への生体親和性が確認できた(高須ら,Biomacromolecules 2015)。
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