研究課題/領域番号 |
24550134
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大前 仁 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50300801)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 多糖 / 癌抗原 / グリコサミノグリカン / 酵素 |
研究概要 |
癌および疾患特異的糖鎖の効率的合成法の開拓のため、平成24年度は下記の2つの研究を遂行した。 [1]重合反応による、より複雑な構造を有する糖鎖の合成 1.Lexオリゴマー合成用硫酸化Lexオキサゾリンモノマーの合成 本研究では平成24年度でオキサゾリンモノマーの合成完了を目指し、詳細な合成ルートの検討を行なった。実施計画で述べたように、モノマー構成ユニットのN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)の6位TBDMS基をTBDPS基へ変えて合成を行ったことにより、アノマー位のMP基除去の際にTBDPS基が同時に除去されること無く反応を進めることが出来た。これにより、後の選択的TBDPS基除去、続く硫酸化、オキサゾリン化を問題無く行え、目的とする硫酸化Lexオキサゾリンモノマーの合成を完了した。合成完了したモノマーを酵素(ケラタナーゼII)反応に供したところ、有意にモノマーの消費が促進されることを予備的に確認した。 2.硫酸化コンドロイチンおよびヒアルロン酸硫酸合成用オキサゾリンモノマーの合成 本研究も平成24年度でのモノマー合成完了を目指し、合成ルートの確立を行った。硫酸化コンドロイチンモノマーとヒアルロン酸硫酸モノマーそれぞれに共通して用いるグルクロン酸(GlcA)ユニットについて、位置選択的保護基を導入したGlcAユニットの構築を検討した。その結果、GlcAへの変換のためにグルコース(Glc)の6位を酸化する反応の際、アノマー位の保護基として用いたMP基が恐らくクロロ化されることにより、後に容易に除去できないことが判明した。従って、6位酸化反応を行う前にアノマー位のMP基をアセチル基等の酸化耐性の保護基へ変換する必要が生じた。現在、MP基をアセチル基へ変換して酸化反応を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最も困難と予想する硫酸化Lexモノマーを用いる癌関連II型糖鎖の合成を重点的に遂行した結果、平成24年度でモノマー合成の完了が達成できた。さらに、酵素重合についても予備的ではあるが反応の進行が確認できたことから、1の研究は平成25年度に予定している研究の半分程度は達成されたと考えられる。 一方、2の研究はモノマー合成が達成できておらず、問題点の改善に務めている段階である。 上記の状況から、総合的には本研究はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に進捗が遅れた2の研究を重点的に推進する。モノマーの合成法確立が最も時間がかかるため、実績の概要で述べた酸化反応での副反応を抑制する方法を直ちに確立させ、次年度に合成予定のGlcAの4位に選択的除去可能な保護基を有するモノマーの合成へ転用可能な合成中間体の構築を検討する。これにより、2に関するモノマー合成を加速させる。1についてはモノマーの合成が完了しており、次年度の予定を前倒して癌関連II型糖鎖のライブラリー合成を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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