種々の疾患に関連する糖鎖における詳細な構造活性相関解明のために、それら糖鎖の合成法開拓について検討した。特に、細胞が癌化すると出現してくる多様な癌関連糖鎖抗原のうち、1グループをなす硫酸化II型糖鎖抗原の合成法確立を目指した反応の開拓を主要命題として検討した。L-フコース分枝を多く有する硫酸化II型糖鎖抗原の合成のため、まず分枝構造単位となる硫酸化ルイスXの効率的合成法を確立した。続いて硫酸化ルイスX単位を丸ごと精確に転移させることができるケラタナーゼII酵素を発見し、これまで未達成であった硫酸化II型糖鎖抗原の合成を可能にする基本反応をはじめて開拓することができた。
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