研究課題/領域番号 |
24550138
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
金子 芳郎 鹿児島大学, 理工学研究科, 准教授 (80404474)
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キーワード | シルセスキオキサン / 有機-無機ハイブリッド / 色素 / キラル |
研究概要 |
前年度に合成したキラル基とアンモニウム基を側鎖に有するラダー状ポリシルセスキオキサン(PSQ)は,キラル基の導入率を高くすると,アンモニウム基の組成比が減少することからイオン性相互作用によるアニオン性色素へのキラリティー誘起が困難となり,また疎水性のキラル基であるため水やメタノール等の本研究で用いるアニオン性色素の良溶媒に不溶となる.そこで,アンモニウム基含有PSQ(PSQ-NH3Cl)に対してキラルなグリシジルメチルエーテル(GME)を反応させることにより,水溶性を維持したままでPSQへのキラル基の導入を行った. キラル基の導入率が約100%であるPSQを用いて,アニオン性ポルフィリン誘導体(TPPS)と水中で混合しUV-Visスペクトル測定を行ったところ,TPPSはH-会合体を形成していることが分かった.さらにこの水溶液のCDスペクトルより,この会合体の吸収帯においてピークが観測され,PSQからTPPSへキラリティーが誘起されることが分かった.これらの結果より,アルコール等の有機溶媒だけではなく,水中でもPSQからTPPSへキラリティー誘起が可能であることが明らかとなった. さらに,カチオン性色素へのキラリティー誘起を可能にするために,基盤となるアニオン性(スルホネート基含有)ラダー状PSQの合成を検討した.合成はメルカプト基含有の有機トリアルコキシシランを水酸化ナトリウムと過酸化水素の混合水溶液中でゾル-ゲル反応することにより行った.現在,このPSQへのキラル基の導入について検討している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的であるキラリティー誘起可能なポリシルセスキオキサンの合成が達成されているため.
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今後の研究の推進方策 |
キラル基含有カチオン性ポリシルセスキオキサンとアニオン性色素とのイオン性相互作用によるハイブリッド化では,円偏光発光材料へと応用することが現状では困難である.そこで,ラダー状ポリシルセスキオキサンおよびかご状オリゴシルセスキオキサンに,キラル基と発光性基を共有結合で導入し,円偏光発光を示す材料の創製を検討する.
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