本研究では、表面トポグラフィーの増幅制御と物性の可逆変換が可能な材料設計および基礎的知見を得ることを目的とし、熱膨張など架橋ポリマーの可逆的な体積変化、および可逆的な架橋性基と架橋に伴う硬化収縮を利用することにより表面微細構造の可逆的な形成が可能になることに着眼し、表面トポグラフィー制御による濡れの異方性発現や可逆変換、表面微細構造の転写や増幅制御に関する検討を行った。 最終年度である平成26年度は、前年度までの成果をさらに発展させるべく濡れの可逆変換や異方性発現に関する検討を継続するとともに、熱膨張と収縮を利用する表面トポグラフィー制御に関連し表面微細構造の転写および増幅制御に関する取り組みを開始した。弾性体に密着した金属薄膜が座屈変形を受けるとマイクロメートルスケールのしわ(マイクロリンクル)が形成されるが、異方的に熱膨張および収縮する弾性体を利用することにより、一方向に配向したマイクロリンクルを自発的に形成することが可能であり、濡れにも異方性が生じることを明らかにした。また、金属薄膜上にポリマー薄膜をスピンコートした後マイクロリンクル形成を行うことにより、ポリマー薄膜にマイクロリンクルが異方性を保持したまま転写され、濡れの異方性も保持されることを見出した。さらに、ポリマー薄膜の膜厚によって転写されるマイクロリンクルの波長を制御することが可能であり、波長を10倍以上に増幅させることも可能であることを明らかにした。
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