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2013 年度 実施状況報告書

分子のピストン運動から仕事を生み出す分子機能の創成

研究課題

研究課題/領域番号 24550142
研究機関北海道大学

研究代表者

玉置 信之  北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (00344218)

キーワード分子機械 / 液晶 / キラル化合物 / 光異性化反応 / アゾベンゼン / フォトクロミズム / 回転モーター / 光エネルギー変換
研究概要

液晶中でのより大きなねじり力変化を光異性化反応によって誘起するために、新規光応答性キラル添加剤を合成する方法と新規キラル液晶を開発する方法の2つの方法を検討した。
新規光応答キラル添加剤としては、アゾベンゼン部位を環状分子の骨格内に含む面性不斉型のキラル分子を発見し、すでに一定の成果を得ているが、今年度はそれを改良すべく、ヘキシルフェニル基を2つ置換した化合物を合成した。従来の添加剤よりも大きな初期ねじり力を示し、かつ光照射後のねじり力変化もより大きかった。この結果は、アルキル基を含むジフェニルナフタレン部位が液晶に馴染みやすいメソゲンとしての役割を果たして、キラル情報を分子間で良好に伝達したためと説明できる。もう一つの化合物としては置換シクロファン型化合物を検討した。[2.2]シクロファンのベンゼン環をアゾベンゼンの一部として利用した面性不斉型化合物を合成し、そのねじり力と光異性化反応によるねじり力変化を確認した。しかし、ねじり力は、上記環状化合物ほどは大きくないことが判明した。
もう一つのキラル液晶の開発としては、ジコレステリルアルカノエートとコレステロールの混合系を新たに見出した。このコレステリック液晶は、ジアルキルアゾベンゼンを添加して光照射することで、可視域の広い波長域でチューニングされた円偏光反射を起こした。さらに、液晶温度からの急冷却によって液晶分子配列を保ったままガラス化することを見出した。
今後は得られた新規光応答性キラル液晶の光駆動回転モーターとして特性を評価することを予定している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初期ねじり力と光反応によるねじり力の変化が従来よりも大きな光応答性キラル添加剤を見出したことは、研究の目的に大きく近づいた。それ以外の研究も概ね順調である。

今後の研究の推進方策

最終年度として、環状アゾベンゼン型と[2.2]パラシクロファン型について、分子内のメソゲン(液晶性剛直部位)の有無等によって、光反応前後での分子配向の変化、液晶分子を捻る力の変化、非可逆的テクスチャー変化がいかに影響を受けるかを明らかにする。クランクシャフト機能の確立については、エネルギー変換効率や分子機械としての繰り返し特性の限界を明らかにする。また、より優れたクランクシャフト機能を与える化合物を見出す。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Dicholesteryl icosanedioate as a glass-forming cholesteric liquid crystal: properties, additive effects and application in color recording2014

    • 著者名/発表者名
      Yuna Kim, Momoyo Wada, Nobuyuki Tamaoki
    • 雑誌名

      J. Mater. Chem. C

      巻: 2 ページ: 1921-1926

    • DOI

      10.1039/C3TC32179G

    • 査読あり

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公開日: 2015-05-28  

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