研究課題/領域番号 |
24550150
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
中山 敦子 新潟大学, 研究推進機構・超域学術院, 准教授 (50399383)
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研究分担者 |
山田 裕 新潟大学, 自然科学系, 教授 (10242835)
藤久 裕司 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 主任研究員 (90357913)
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キーワード | 高圧物性 / 炭素π電子系 / 水素 / 圧力誘起構造変化 / 水素貯蔵 / グラフェン / グラファイト / 窒化ホウ素 |
研究概要 |
平成25年度は、高圧下でグラフェンの構造、物性を評価することを目的として、1.高圧下利用のためのグラフェン転写用基板の評価、2.グラフェンのダイヤモンドアンビルへの転写と転写後のグラフェン積層数の評価、3.水素分子の位置および配向の理論的予測をおこなった。1について、高圧下でグラフェンの構造、物性を評価するには、グラフェンの基板材料が高圧下でも安定していることが必要条件となる。本研究ではダイヤモンドアンビルの他、最近、利用報告の多い六方晶窒化ホウ素単結晶(hBN)について、顕微鏡観察、ラマンスペクトル測定により、高圧下での構造安定性について評価をおこなった。2について、従来のグラフェン積層数の評価手法を用いてダイヤモンド上に転写したグラフェンの積層数の評価をおこなったが、ダイヤモンドのラマンスペクトル(2次)が、グラフェンのG'バンドと重なるため、精密な積層数の評価が困難であることがわかり、これに変わる方法でダイヤモンドアンビルに転写されてたグラファイトの積層数を評価した。3について、高圧下で水素吸蔵をおこすメソカーボンマイクロビーズについて、2種類のモデル(モデル1:グラファイトのスタッキングが水素吸蔵に伴いABからAA構造に変化したもの、モデル2:水素分子が2,3層おきに挿入されたステージング構造をとるもの)を想定し、内部ストレス計算をおこなった。モデル1を検証するため、実験で得られた2GPaにおける層間距離を固定し、ABスタッキングとAAスタッキングした層間に水素分子をおいたモデルをつくり、その原子にどの程度の力がかかっているかを計算により求めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
圧力発生装置であるダイヤモンドアンビルセルを用い、剥離したグラフェンをダイヤモンドアンビル上に転写し、積層数の評価をおこなった。高さ2mmのダイヤモンドアンビル越しにグラフェンのラマンスペクトルが観察できることから、グラフェンの高圧下におけるその場観察が可能であることを確認した。 水素分子の位置や配向についての理論的予測については、今のところ実験結果を再現できていない。原因として、モデルが違うこと、Van der Waals相互作用が上手く再現できないことが考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、水素やヘリウムなどの圧力媒体を用いてダイヤモンドアンビルセル中で加圧し、ラマン、抵抗測定等をおこなう。これによって高圧下におけるグラフェンの振動状態、導電性の変化、水素のグラフェンの電子状態への影響が明らかになると考えている。水素分子の位置や配向についての理論的予測について、今後は、グラフェンの実験結果をもとに、グラファイトに見られるVan der Waals相互作用のないグラフェンについてモデルを検討し、計算を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定していた学会に所用により参加できなかった。 ラマン測定のための寒剤、試薬の購入等に割り当てる。
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