研究課題
平成26年度は、(1)グラフェン基板材料である六方晶窒化ホウ素(hBN)の水素中での加圧、(2)ダイヤモンド基板上での数層グラフェンの加圧、(3)DFT計算による高圧水素雰囲気下で加圧したhBNの構造変化の検証をおこなった。(1)では、グラフェンの基板材料として用いられる六方晶窒化ホウ素BNの水素の影響を知るため、高圧水素中でhBNを加圧した。hBNはグラファイトと同様に面内構造の伸展が生じることが明らかとなり、水素圧力媒体を用いる本研究では、hBNをグラフェンの基板材料として使用できないことがわかった。また、粉末X線回折、ラマンスペクトルの結果から、11GPaでhBNからウルツ鉱型BN(wBN)への相転移が生じ、回収試料はwBN構造をもつことが明らかになった。(2)では、高圧下で水素の影響がないダイヤモンドアンビルに、数層グラフェンを転写し、ヘリウム、および、メタノールエタノール混合液圧媒体を用いた加圧を試みた。グラフェンの積層数はダイヤモンド基板のラマンスペクトルより決定することができた(特許出願中)。ProctorやClarkがおこなった先行研究では、シリコン基板上のグラフェンでは3.5GPa、自立グラフェンでは8GPaが最大圧力であった。ダイヤモンド基板上のグラフェンについて、10GPaを超えるラマンシフトの測定に今回初めて成功した。(3)では、(1)の実験結果について、構造最適化により、水素による加圧前後の構造モデルについて、格子定数、状態方程式を推定し、粉末X線回折実験の結果と比較した。結果は、水素が入った計算によるモデルの格子定数のc軸、単位体積が実験値よりも有意に大きな値となった。こうなった理由として、Van der Waals相互作用が計算によって上手く再現できない、モデル構造が違う等が考えられる。一方、水素が入っていない計算によるモデルの格子パラメータは、実験値に近い値となった。
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Journal od Physics: Conference Series
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Journal of the Physical Society of Japan
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