研究課題
チタンアルコキシドのゾル-ゲル反応溶液(酸化チタン前駆体ゾル)に天然粘土鉱物アロフェンを混合し超音波照射を行うことにより、アロフェンを分散させたゾルを調製した。ITO電極基板上に上記のゾルをコーティングし、500℃で焼成することにより酸化チタンナノ結晶を生成させ、アロフェン-酸化チタン複合光触媒薄膜電極を得た。作製した試料のSEMおよびTEM観察、XRD測定、IRスペクトル測定により、アナターゼ型酸化チタン粒子表面の極一部をアロフェンナノ粒子で修飾した薄膜の生成を確認した。上記のアロフェン-酸化チタン複合薄膜電極を用い、植物性高分子のモデル化合物であるグルコースおよびでんぷんを燃料物質として、酸素溶存水溶液中における光触媒分解および光電気化学測定を行った。液相中のIRスペクトル分析により、分解生成物の定性・定量を行った。燃料物質の分解により、ギ酸および二酸化炭素の生成を観測した。各電極の光電気化学測定を行ったところ、燃料物質を含まない電解液を用いた場合は、アロフェンの添加量とともに光電流密度は減少した。すべての電極において、電解液中の燃料物質の濃度の増加に伴い光電流密度は増加した。また、このときの光電流密度の値は、0.10%のアロフェンを添加した試料が最も高く、燃料物質の分解速度と生成物の生成速度に対応する結果となった。アロフェンを混合することにより、酸化チタンの光触媒能が阻害される傾向がある。しかし、少量のアロフェンナノ粒子を分散させることにより、酸化チタンの光触媒特性および電子伝導性を大きく低下させることなく、有機物質の吸着・分解を効率よく行うことができることがわかった。また、グルコースの分解・電流発生効率に及ぼす光照射密度依存性を調べることにより、アロフェン表面からチタニア表面への燃料物質の拡散が律速過程であることがわかった。
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