研究課題
【新規化学計測装置による分子膜/麻酔薬相互作用検出の試み】新規化学計測装置について、引き続き、装置の長時間安定化(反応時間:<8時間)の実現に向け、周辺環境の更なる精密制御を行なった。具体的には次の3項目である。1.検知部:外部からの電磁波ノイズ軽減のため、検知部をアルミ製防護箱で覆った。2.麻酔薬添加・撹拌機構:撹拌による界面への揺動影響の軽減のため、撹拌子および添加容器を独自に作製した。3.測定槽周辺および実験室内:安定性と湿度の相関を精査し、加湿器により湿度を48%±3%以内に収まるようにした。これらの対策を行なった結果、平成26年度末時点において、振動数:±0.2Hz(>8時間)、抵抗値:±0.02Ω(>8時間)の高安定化を実現した。この条件下において、DPPC分子膜に種々の濃度のイソフルランを作用させたところ、振動数および抵抗値の変化を同時に検出することに成功するとともに、それぞれの物性値の変化開始時刻に違い(タイムラグ)が見られる特異濃度が存在することを見出した。【DMPE分子膜への麻酔薬の作用効果】DMPE分子膜への麻酔薬イソフルランの作用効果(濃度依存性)を、既存の振動数・抵抗値の独立計測装置(水平型QCM・QCI測定装置)により行なった。QCM・QCIどちらも、イソフルラン濃度の増加に伴い、振動数減少(吸着量増加)と抵抗値増加(粘性増加)を観測した。またイソフルラン濃度6mM近傍において、変化量が一旦平衡値に達した後、不連続な変化を示した(2段階変化)。前々年度に得られたDPPC分子膜へのイソフルラン作用(吸着および粘性変化)と比較すると、吸着量は2倍近い量であった一方、粘性変化は1/2倍程度であった。表面張力測定から、DPPC分子膜よりもDMPE分子膜の方が収縮性が強いことが分かっており、水面上分子膜の形態の違いが変化量の違いとなって現れたと考えている。
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Encyclopedia of Biocolloid and Biointerface Science
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